神社で見かける狛犬や狐などの動物の像。これらの動物たちは「神使(しんし)」や「神の使わしめ」と呼ばれる神さまのお使いで、神さまからのメッセージを伝える役割を担っているといいます。なかには、動物自身が神さまになっている神社もあります。
今回紹介するのは、そんな神使を務める動物にスポットを当てた「神さまに選ばれた動物図鑑」。キツネやウシなどの身近な動物たちが、なぜ神さまの使いとなったのか、その理由や背景、ご利益などをかわいいイラストと共に解説しています。
キツネやウシ、シカ、サル、ヘビは日本中でまつられているというほど神使の中でもメジャーな存在なのだそうですが、本書で取り上げられているのは全55種もの動物たち。それほど多くの動物たちが神使として扱われていることに驚かされます。
なかには、意外な動物の姿も。その見た目から嫌われがちなムカデもその一つ。もともと龍神や大蛇の天敵として神話に登場していたムカデは、はっきりとした云われはわからないものの、鍛冶屋や金属産業を守る神使となったといいます。武士たちの間では、「前にしか進めない」=「後退しない」ということから勇ましいとされ、甲冑や刀装具などの意匠に用いられたのだとか。また、お金のことを「お足」と呼ぶことから、足の多いムカデはお金に困らないというご利益もあるのだそうです。
日本全国に8万社以上もあり、コンビニよりも多いといわれる神社。近所の神社の神使はどんな動物か、秋のお散歩がてらにお参りしてみてはいかがでしょうか。
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