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神社の効能とは? SHOCK EYEさん×東村アキコさん対談イベント

東村アキコさん(左)、SHOCK EYEさん=外山俊樹撮影

「願い事ばかり」反省、心を整えて自分と向き合う時間

 SHOCK EYEさんは10年ほど前、占師のゲッターズ飯田さんに「運のレベルが半端なく高い」「歩くパワースポット」と評された。それを機に始めたのが神社通い。近著『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』(講談社)に「心を整えたいときは、神社に行く」という一章を構え、神社探求の楽しみ、喜びをつづった。

 東村さんは「日常に採り入れようと思った人が多かったのでは」と感想を語る。自身も近著『稲荷神社のキツネさん』(原作・町田真知子、光文社)で開運のありようを描いた。さえないサラリーマンが神社で「キツネさん」と出会い、「頑張らなくてもできることが才能」と助言されて新たな道を歩む。

 SHOCK EYEさんは、表紙にひかれジャケ買いしたという。「神社は、僕の中では静かに自分と向き合う場所。それに通ずることが描かれていた」。東村さんは3年前に茶道を習い始め、集まる人たちが稲荷神社を話題にしていたことから興味を持った。「気持ちが改まる時間を月イチくらいで持つ。そのために神社に行く。清まる気がする」と話す。

 東村さんが「神社に行く行為は、人生においてすてきな、大事な時間では」と問いかけると、SHOCK EYEさんは「感謝やありがたみを感じて生きていくのが豊かさ。僕は、その訓練をするために神社に行き始めた。いつしか、自分の幸せじゃなくて、みんなが幸せになりますようにと祈るようになった。願い事ばかりの自分が欲張りに感じたんです」。

 東村さんは「私なんか、初詣で200円入れたから、三つくらいまで願い事はいける!とか、そんな風でした。『稲荷神社』を描いてから、お参りの仕方をちょっと変えるだけで精神的に安定すると分かった。昔も深刻な悩みはあったはず。心を保つためにお稲荷さんなど神社仏閣があったのでは。現代の人も同じことをできるのではないでしょうか」。

 SHOCK EYEさんには戸惑いもある。「誤解されることも多い。『ミュージシャンが怪しい宗教でも始めたの?』『そっちに行っちゃったの?』って」。東村さんは「いや、ギャップがいいんですよ。『湘南乃風の人が神社にめっちゃ行く!?』みたいな意外なリアリティーがいい」。

 SHOCK EYEさんには「そっち」を「こっち」にしたいという思いがある。「外国のサッカー選手がゴールを決めたとき、十字を切るじゃないですか。かっこいいですよね。そこで日本人が柏手(かしわで)を打ったら、おかしいと思われる。でも、根本的なところにある和の心がかっこいいと思われてほしい。神社に行くことも『クールだよね』となればうれしい」

 2人は、若い人たちこそ神社を訪れてほしいと言う。東村さんは「きっかけがないだけ。変なやつと思われたくない、とか。でも、湘南乃風の人が書いた本に載っていると、若い子もすっと行ける」。

 SHOCK EYEさんは「行くとハッとする瞬間がある。土を踏むだけでも心が変わる。人それぞれ都合よく信じて、前向きに生きてもらえたらと思います」。(西秀治)=朝日新聞2020年8月29日掲載