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「アマゾンで学んだ! 伝え方はストーリーが9割」 「理想的な光景」から逆算する

 アマゾンの社内会議では空席が一つ設けられる。会議が顧客に利益をもたらす内容になっているか、自問する環境をつくるための「エア・カスタマー」の席だ。「顧客中心主義」を徹底するアマゾンでは、顧客に向けて発信するメッセージもきちんと「伝わる」よう、「ストーリーで伝える」ことが求められる。その役割を担う同社日本法人の広報責任者を13年間務めた著者がアマゾン流の伝え方を指南。
 対象を明確にし、到達したい「理想的な光景=ゴール」を決め、どうすればそう行動してもらえるか、逆算してストーリーを考える。例えばファッション分野の認知度を高めるPR。足が日本人女性の平均サイズで、商品の靴の履き心地などをモニターする社員がいた。「満足度を上げるためにここまでやっている」ことが伝わるストーリーの目玉として、通称「シンデレラ」と呼ばれていたその社員を、社内見学ツアーで登場させた。
 理念、人、商品・サービス、設備、環境・立地について、他とは違う特徴を洗い出し、つなげると「唯一無二のストーリー」になるという。それは差別化戦略と同義語でもある。戦略が明確な企業ほどストーリーも豊富になることにも気づかせてくれる一冊。=朝日新聞2019年8月17日掲載