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「どこでも成果を出す技術」 助け求める力と説明する力

 新型コロナウイルスの対応に追われたこの2年間で、テレワークは急速に浸透した。しかし、全員がすぐに対応できたわけではない。新しい働き方に戸惑う人や、マネジメントに悩む人は少なくない。

 本書は、「ワークスタイル&組織開発専門家」として、350を超える企業・団体の働き方改革を支援してきた著者による、テレワーク実践の手引。個人が身につけたいスキルを「コミュニケーション」と「セルフマネジメント」の2点に絞り、八つの技術として紹介している。

 中でも注目したのは「ヘルプシーキング」、助けを求める力だ。上司や同僚と物理的な距離がある職場環境では、「ちょっと聞いてもいいですか?」と気軽に尋ねられない。相手に察してもらうのも難しい。だからこそ、「私は今ここで困っています」と自ら発して、明確に説明する力がより必要となる。「どこでつまずいているか」を具体的に示す図解の活用も有効。また、普段からお互いに敬意や感謝を伝え合い、安心して問題を打ち明けられる雰囲気の醸成も必須だとも。

 最後まで読んで気づくことがある。テレワーク導入の有無に関係なく、他者と働くための技術がここにある。=朝日新聞2022年3月19日掲載