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アナログな魅力、アート本が熱い 「東京アートブックフェア」、来場者数10年で約9倍

東京都現代美術館で今年7月に開催された東京アートブックフェア=加藤甫さん撮影

 画集や写真集など、アート出版に特化した「東京アートブックフェア」(TABF)に熱視線が注がれている。10年前に有志の手でひっそりと始まったが、今年は7月12~15日に東京都現代美術館で開催され、3万5千人を動員。なぜ今、アートブックなのか。

 9月18日、東京都渋谷区の書店・出版社「SHIBUYA PUBLISHING&BOOKSELLERS」で、運営スタッフらがTABFの軌跡を総括するイベントがあった。

 TABFは、アート出版に特化した日本で初めてのブックフェア。2009年にニューヨークアートブックフェアを参考に、東京都渋谷区の書店「ユトレヒト」が中心となってスタートした。初回の来場者は4千人だったが、年を重ねるごとに規模を拡大。日本をはじめ、インド、トルコ、アメリカ、ボリビアなど約30カ国から300組近くの出版社やギャラリー、作家が出展するアジア最大規模のイベントに成長した。

 立ち上げから関わるフリーランスライターで、写真雑誌「IMA」の編集も手がける東直子さんは、インスタグラムでの拡散が一つの起爆剤になったと分析した上で、「デジタルの時代だからこそ、アナログが見直されているのを感じる」と総括。東京を拠点にしたアートブック販売代理店「twelvebooks」を営む濱中敦史さんは「紙対デジタルといった単純な対立構造は実は成立しない。将来、電子書籍のアートブックが紹介されてもいいんじゃないか」と展望を語った。(板垣麻衣子)=朝日新聞2019年9月25日掲載