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『日本のヤバい女の子』はらだ有彩さん×『美容は自尊心の筋トレ』長田杏奈さんトークイベント 自尊心の種火を消さないで静かに抵抗する方法

はらだ有彩さん(左)と長田杏奈さん 文:太田明日香 写真:石川奈都子

自尊心の種火について

長田杏奈 「自尊心の抗争」がこのイベントのテーマなんだけど、自分がぞんざいに扱われたときとか嫌な思いをしたときに、「昔からこういうもんだしな〜」とか、「わたしってこんなもんだよな」とか、「女の子ってまあこういう扱いだよな」って思っていると、抗争ができないじゃないですか。

はらだ有彩 受け入れちゃう。

長田 受け入れちゃう。それも一興なんですけど、「まあそうだよな」っていうのから、「おいっ!」「え、なにコレ?」ってカチンと来れるようになるためには、その人が自分を大切にする気持ちがあるかどうかで結構違うなって思っていて。元々ガンガンにマグマが煮立ってなくてもよくて、なんか火種があれば、その火種を育てて抗争できるんじゃないかなって思うんですよ。

はらだ 長田さんはすぐキレるタイプなんですか?

長田 わたしはどっちかっていうと、なんかちょっと嫌なことがあってもヘラヘラしちゃって、家で「ん?」って時間差で蒸し返しがちで、うまくその場で怒れないタイプなんです。でもまあそれでも、「明日じゃあちょっと相手の思う通りにならなくなってみよう」とか、粘り強くキレるほう。ヘラヘラしてるけど、絶対言うこと聞かないタイプです。
 キレるべき場面でキレるためには、最低限の火種が必要だから、「自尊心の種火を育てましょう」、「シケモクになった自尊心を立て直しましょう」という気持ちで「自尊心の筋トレ十訓」を作りました。わたしは美容ライターなので、あくまでも美容というフィルターを通して、「自尊心の種火を育てるのにこういうことが大切なんじゃないかな」っていうのを十個集めました。これ、『美容は自尊心の筋トレ』のあらすじでもあるんです。

「自尊心の筋トレ十訓」(『美容は自尊心の筋トレ』P13より)
一. 生きているだけで美しい
二. 自分大好きは褒め言葉
三. 楽しい努力を選ぶ
四. コンプレックスは魅力の泉
五. 自虐で笑いを取るべからず
六. 褒められたら「ありがとう」
七. 嫉妬は自分の磨き石
八. 夜中にモテで検索するな
九. みんなで浮けば怖くない
十. 今の私がいちばんイケてる

長田 こういう本を書いたから、自分のことがあまり好きじゃないという人にめちゃめちゃ話しかけられるようになったんですね。挨拶して会って3秒で、「わたし実は自尊心が低くて」って話題が出る。

はらだ おお……いきなりめっちゃ込み入った話になりますね。

長田 そう。私が初対面で「すてき♡」って感じた現実と、その人の「実は自分に自信がない」っていう内情に、乖離がある。

はらだ 長田さんが素敵だと思った部分を、ご本人は素敵だと思えていないということですよね。

長田 一瞬驚くけど、人間ってそういうとこありますよね。『美容は自尊心の筋トレ』は、自分で自尊心に着火できるように書いたつもりだったんだけど。そもそも論として、その人たちの自尊心の種火が消えかかっているのは、その人たちのがんばりが足りないせいでは決してない。多分、すごく真面目で頑張っている人が話しかけてくださるんですよ。でもそうやってふだん頑張っている人が本を読んで、「わかっちゃいるけど、自尊心の種火がつかない、つかない」って苦しんでるのって、絶対その人たちのせいじゃないって思うんですよね。

「声上げろ圧」への違和感

はらだ わたしもイベントに来てくださった方が「自分のキレられなかった話」をしてくれることがあって、そういう方がよく「うまくキレられなくて、キレたいのにキレられないから、すごい自己嫌悪になって」みたいなことをおっしゃってて。

 わたしはどちらかというとすぐキレるんですよ。ふだん会社で働いているんですけど、このあいだ産休明けで復帰してきた人が会議で意見を言ったら、「いつもいるわけじゃないのに見当違いなことを言うな」みたいなことを上司が言ったから、代わりにキレてしまったことがあって、キレすぎて眼鏡壊しました(笑)。

長田 え、どういうキレ方したら眼鏡壊れるの?

はらだ 怒ってる感じをアピールするのに、鼻当てを押し上げていたら、眼鏡がばきってV字型になっちゃって。捨てたんですけど。

(会場爆笑)

はらだ その人は「迷惑かけているのはこっちだから」って言い返せなかったりして、そういうふうに怒れないことってあるなって思って。

長田 はらださんは、怒りの反射神経が昔から高かったの?

はらだ 前に勤めていた会社がブラック企業だったせいでやむを得ず鍛えられました。でも全くおすすめできる方法じゃないし、そもそも生まれ持った性質によるところも大きいですよね。最近、ようやく「怒っていい」と言われる世の中になってきたと思うんです。「もっと声を上げていい」とか、「もっと声を上げよう」って呼びかけられるようになったのは素晴らしいことなんだけど、中々言えないって人も絶対いるだろうなと。そういう人たちが、ともすれば「怒っていいって言われてんだから怒ればいいじゃん、怒んないってことは怒ってないんでしょ」って処理されちゃうことが、ちょっと歯がゆいなって思うんですよね。

長田 「声上げろ圧」。

はらだ 「声を上げないなら、怒ってないことにする圧」。

火を消されて何十年

長田 美容でも、「顔をきれいにするために心もきれいにしなきゃいけない」っていう言い方がよく使われていて、「怒るな」とか「めそめそ悲しむな」って言いがちなんです。
 わたしもそういう主張がわからなくはないんです。でも、なんていうのかな? 人間の感情ってわかりやすく分けると、喜怒哀楽があるじゃないですか。それで、「喜」「楽」の部分はすごく推奨されるんだけど、悲しんだり怒ったりするのは、マイナス思考とかネガティブとか見苦しいみたいな感じでふたをされやすいなって。「哀」とか「怒」って、周りの空気を乱す感情だから、それに対して周りから「空気乱さないで」って押さえつけてくるというのがあると思うんですよ。

はらだ なんかありますよね、「自分の機嫌を自分で取れるのが大人」っていう。

長田 そういう考え、ちょっと危ない感じがするときがあるよね。

はらだ ありますね。そりゃ取れればいいし、気分いい方がいいけど、そもそもなんで「哀」とか「怒」の感情が生まれて、機嫌が乱れる羽目になっているのか?っていうのが、検証されないまま、「とにかく自己責任でハッピーに持ち直すのが素晴らしい!」みたいなのって……。

長田 よけい気持ちがぐちゃぐちゃになりますよね。さっきの話もそうなんですけど、自分を大切にしようっていう気持ちを持ちたくても、種火を消され続けて何十年、っていう人がいるんですよ。わたしがお会いする方にも、生まれて間もない頃から身内に顔にダメ出しをされたり、思春期に友人や異性から見た目をからかわれて、社会に出たら「女だろ」って不条理な扱いを受けてみたいな……。そんな状況なのに、自力でなんとかするのは無理だろって。そういうのって本人の努力じゃなんにもならない。

はらだ なんにもならないですよね。人からそういわれてしまう環境って、個人の努力ですぐに解決できないものもある。昔、営業をしていたときに色んな会社さんへ行ったことがあるんですが、事務職の人がみんな女性で、全員「女の子」ってひとまとめにして呼ばれていることがすごく多かったのを思い出しました。

長田 あ〜。

はらだ 名前を奪われて「女の子」ってペルソナで呼ばれるのも、直接殴られるわけじゃないんだけど、種火を消されるんですよね……。

静かなる抵抗100選

はらだ わたしの本は、前回は「殺す」とか「鬼になる」とか自分にできないことをしてキレる女の子の話だったんですけど、読者の方に「確かにすかっとはしたけど、結局明日からも嫌な上司はいて、上司は殺せないんですけど! どうしたらいいですか?」と言われてハッとして。だから今回は「静かなる抵抗」で、一見怒っているように見えないけど抗議の怒りをいろいろ集めてみました。

長田 怒りのケーススタディー100選ですね。それでは、『日本の女の子 静かなる抵抗』から、はらださんおすすめのケーススタディーをお願いします!

ケース1・鬼を拝んだおばあさん(P17)
 鬼が好きすぎて、鬼を拝んでいたおばあさん。亡くなったあと閻魔様に地獄へ落されたのだが、大好きな鬼たちがいて、大フィーバー!

長田 この人は何を持ってるんですか?

はらだ ペンライトですね。この持ち方はオタク用語で「バルログ持ち」っていって、格闘ゲーム『ストリートファイターⅡ』っていうゲームに登場する、バルログっていうかぎ爪が武器のキャラに由来しているってtwitterで教えてもらいました。

長田 抵抗の様式としてはどういう感じなんですか?

はらだ さっきちょっと危険だなって言った「自分で自分の機嫌を取る」っていうのを突き詰めたパターンです。自分で自分の機嫌を取りすぎて何も効かない状態になっている。地獄に落されたのに大好きな鬼がいるので、罰が効かない。

長田 これは真似できそう。“推し”(アイドルやタレントなどで応援している人)がいれば。さっきの例で言うと、嫌な上司がいる会社に行ってもデスクトップのスクリーンセーバーを“推し”にして「まあいいや」って。

ケース2・松浦佐用姫(まつらさよひめ)(P142)
佐賀に伝わる伝説。新羅(しらぎ)に出征する大伴挟手彦(おおとものさでひこ)が立ち寄った佐賀で、松浦佐用姫に出会う。二人はたちまち恋に落ちるのだが……。

はらだ 二人は挟手彦の出征が遅れるように祈るんだけど、ついにその日が来てしまう。山の上から遠ざかる船を見送っていた佐用姫は、耐えられなくなって山の上から浜の方までわーって走って追いかけるんです。でも浜に辿りついたときには船はもう見えなくなってて、そのまま一週間泣き続けて、泣きすぎて石になってしまう。今もその石は佐賀県の加部(かべ)島ってところにあります。その話を聞いた時、最初は受動的な印象を持ってしまったんですけど。

長田 運命に逆らわず、待つ女。

はらだ 船を沈めるとか、上司を殴って、出発を遅らせるみたいなことをしたらよかったのに、と思っちゃったんですけど。でも、今でも石は佐賀にあるんですよ。その石がまだそこにあるっていうのは、まだ彼女が「逆らえない大きな力に大切な人を奪われた怒り」を持ったまま、消えずに怒り続けているってことなのかなって。手を出したり声を上げたりはしないけど、そこに居続けることで、怒りを持続させる。

長田 「いなくなってやるものか!」って。
 金融系の会社で、妊娠して子ども産んで戻ってきて、会社を辞めろとは言われないけどせっかく保育園が決まったのに、絶対通えないだろってところに転勤させて暗黙の圧をかけられた、っていうケースを思い出した。「辞めるよね? 会社」って。

はらだ そんなのこの現代社会にほんとにあるんですか!?

長田 あるんだよ、2000年代なのに!
 本人は大変だろうけど、居続けるって結構抵抗になりますよね。そこにいるだけで。「やめるもんか」って。そんなことを思い出しました。『松浦佐用姫』は個人的にすごい好きな話です。「消えないぞ、消えてやるものか!」って。

ケース3、炭焼長者の妻(P211)
親が決めた許嫁に嫁がされたものの、収穫祭の日に食べるための麦飯を夫が蹴り飛ばしたことに我慢できなくなり、家を出て行った女の子。炭焼の男と再婚して幸せに暮らしていたところ、落ちぶれて竹細工売りになった元夫が行商にやってくる。

はらだ 元妻は元夫に気づいて「しょうがないな、竹細工ぐらい買ってやるか」って結構高めに買ってあげるんです。でも元夫は元妻に気づかず、調子に乗ってぼったくろうとするんです。そしたら元妻が麦飯の茶碗をそっと出して。

長田 「お前覚えてるか?」って。

はらだ そしたら元夫は恥ずかしさのあまり自害してしまうんです。彼女は元夫の墓を建て、墓にはふだんは何もそなえないんですけど、収穫祭のときだけは「例の」麦飯をそなえてやる。
 最初は「め、めっちゃ当てこするやん…」と思ったんですが、でも、よく考えたら、謝ったからといって許す必要はないというか、受け入れる義務はないというか。許したくなければ許さなくていいって話なんです。

長田 なんか許せる人が偉いっていう感じになりがちだもんね。謝ったら、「向こうも謝ってるんだし」って、すごいひどいことされても許さなきゃ大人じゃない的な。

はらだ 「謝ったじゃん!」って。

長田 「謝ってるじゃんさっきから!」って、「でもそれ、謝ってないじゃん!」って。

はらだ 謝った=完全にリセットされた、と処理されたことになっちゃう。

人間社会のレギュレーションを飛び越える

長田 打ち合わせではりーさん(はらださんのこと)と話をしたときに、「人間社会のレギュレーションを飛び越える」って話でめっちゃ盛り上がったんですけど、「人間社会のレギュレーション」ってどんな感じかな?

はらだ 例えば女の子だったら女の子っぽくしないといけないとか、化粧するなら目の上には線書いていいけど、ほっぺたには書いちゃいけないとかなんか知らないうちに決まってることがあって。

長田 暗黙の了解があって、「みんなこの枠の中でなら自由にしていいよ」って感じ?

はらだ そういう感じで。例えば、ノームコアってすごいはやったじゃないですか。3、4年くらい前に、ユニセックスって感じの、すべての装飾を削ぎ落とし、男でも女でも着られるような服。

長田 力まないスウェットが逆におしゃれ?、みたいなやつね。

はらだ そうそう。それ自体は素敵な服の一種なんだけど。それがはやったときに、ジェンダーレスってことも同時に注目されたんですけれども、装いの性差を破壊しようとすると、なんとなく無機質なメンズ服よりになる傾向があるのかなと思って。女性性を捨てると、じゃあ男性寄りね、みたいな2択がすごい狭い感じがして。レギュレーションを破壊しようとしているんだけど、いっそうレギュレーションに絡めとられているような。一個を選ばなかったら、じゃあ残った方の一個を選ぶんだよね!?みたいな。それで、「レギュレーションをぶちこわしてる人」って誰かな?と考えて思い浮かんだ人が、ジャン=ポール・ゴルチエ。

長田 結構有名な方ですね。

はらだ 超絶有名なパリコレクションのデザイナーの方ですね。

長田 ボーダー着てる人だよね。

はらだ (笑)!そのゴルチエ氏は、服を作るときに目指すのが人間じゃないことが多くて。

長田 人間じゃないって、例えば?

はらだ ハチとか。

長田 ハチ、そもそも人類じゃない。

はらだ 太陽神とか。

長田 現実の生き物でもない。

はらだ 現実の生き物でないことすらある。コレクションを見て、「今日は女性ぽくしたくないな」って思った日に、「じゃあ男性っぽくしたいんだね」って決まっちゃうんじゃなくて、ハチになってもいいし、カエルでもいいし、太陽神でもいいっていうのがすごい広いなって。それがレギュレーションを飛び越えるってことじゃないかなと。

長田 レギュレーションを飛び越えることって、狭い枠の中でこちょこちょしてる前提をぶち壊すことだよね。

はらだ ぶち壊すことで、自分でルールを勝手に敷くみたいな。それがすごくいいなと思って。ちなみにわたしは毎日服にテーマを決めてるんですけど、今日は「じゅうたんのオバケ」です。

長田 どちらでお求めに?

はらだ これは古着屋さんで「君のために置いといたよ」って出してこられて、もはや買うしかなくなったベストです(笑)。「わたしの今日のテーマこれなんで」って言うことによって既存の評価軸を捻じ曲げるために、武器になりそうな服を探してるんです。

長田 人が自分に対して向けている前提を「その前提で生きてないんですみません」ってぶち壊す。

はらだ 例えば「今日モテ服だね、デート?」って聞かれたときに、もし答えたくなければ答える必要はなくて、「今日は私、モテとかじゃなくて『じゅうたんのオバケ」なんで」って返しちゃう。そうやって新たな軸を提示して、煙に巻いてモテとかモテじゃないって文脈をならす。「え、何何、何の話だっけ?」とうやむやにするっていう。

長田 わたしのレギュレーションの越え方はメイクかな。めっちゃ真っ黒い口紅を塗って、妙におっきいラメがついているとか、目を下をピンクで囲んじゃうとか。
 本にも書いたんですけど、仕事で美容の記事を書いているから、たまにモテをテーマに取材するにあたり、男の人を呼んで意見を聞くこともあるんです。だけど、次の日からその人たちの意見を反映したメイクをするかというと、絶対そんなことはなくて、逆にその人たちが絶対嫌いそうな真っ赤な口紅を塗ったりして。

はらだ ヘラヘラしてると見せかけて全然言うこと聞かないパターンだ。

長田:そう、ヘラヘラして言うこと聞かない。ちなみに今日はわたしはスケスケで来たんです。

はらだ 靴も透けてますよね。

長田 靴もスケスケで。トップスもスケスケで。着ているような着ていないようなスケスケの女で来ました。

紅とピンク

はらだ 淡いピンクだとモテるとか、そう決まってるのが苦手で。すぐモテと関連づけられるじゃないですか。化粧って昔は男の人もしてましたよね。男性が化粧の習慣から離れているうちに、色とりどりのお化粧が普及して、いろんな色を使うポイントメイクが広まって。いつのまにか、顔に色を塗る行為はなんとなく女の人のものになって、さらにそれが血色をよく見せること、ひいてはセックスアピールと結びつけられていって。

長田 お猿はお尻を赤くしますが、人間の女の子は顔を赤くしますみたいな感じ。

はらだ そうそう。別に血色を良く見せてもいいし、セックスアピールしてももちろん何も問題ないんですけど、「血色良く見せてる!だからセックスアピールだ!」「ピンクだ!だから女子だ!」っていう方程式が無条件に発動してしまうことがすごい嫌だと思って。『日本のヤバい女の子』もタイトルが箔押しになっているんですけど、最初ピンクにしようって案があったんです。でも今ピンクを使うと、「イラストの青にマッチしたから」じゃなくて「女の子だから」ピンクを使ったと感じ取る土壌の方が、まだ世の中には強くあると思って。文脈ではなく事実をベースにしたかった。それで、血が赤いっていうのは殆どの人間に共通することだから、「熱い血潮」の色を使いたいなと思って赤にしたんです。

長田 赤で思い出したのですが、今回の女の子たちのイラストには、目玉が赤い子と黒い子がいるんですよね。八百屋お七(P49)と宇治の橋姫(P63)のイラストは目玉が赤いのがおもしろくて。なんで目玉に赤を使ったんですか。

はらだ 自分の見たいものしか見てない状態の人だけ、目玉を赤くしてます。

長田 へ〜!

はらだ お七は火事になったってうそをついて、橋姫は嫉妬をして人を呪った。そういう我を忘れて、見たいものしか見てない様子を赤で表現しました。

長田 はりーさんは、女の子が見たいものしか見ないことを批判しないよね。肩を持つよね。

はらだ 二人とも、もちろんしてはいけないことをしている。してしまったことは絶対に償わなければならない。でも、「なぜ『そう』したいと思ったのか」っていう気持ちの動き部分は否定されなくてもいいんじゃないかと思って。

じゅうたんぽいチョッキは行きつけの古着屋で「取っておいたよ!」と言われたもの。上着の透けている感じがオバケ感を表しているのだとか。

今後の展望

長田 そろそろ時間なので、お互いの今後の展望を。

はらだ 『日本のヤバい女の子』は第二弾まで作っているんですけど、少し時代が変わった頃に第三弾をやりたいなと思ってるんです。この本は今の女性が置かれている状況に対するカウンターパンチとして書いているので、今と同じ社会の中で同じことをしても、同じ結果になってしまう。だからちょっと時代が変わった頃にやりたいなと思ってます。そのときは「いろいろあったけど、オレらやったったよな!」みたいな感じになったらいいなって。そのために自分も時代を変えられたら嬉しい。

長田 あ〜、もうそういう未来像が見えてるんだ!

はらだ 最終的には、傷ごと「まあ、なんだかんだいって愛すべき人生だったな」と思えるようになって、人生をまっとうする、みたいな。

長田 ちなみにわたしは「自分で頑張ろう、自分で種火つけよう」って本が『美容は自尊心の筋トレ』なんですけど、「自尊心の種火つかなかった」っていう人に向けて、「自尊心の種火つかなかったのは、こうこうこういう仕組みがあったからあなたは悪くない!」っていうのを解き明かしたい。

はらだ 種火の存在に気づいた先に向かう、次のフェーズですね! 楽しみです。

はらだ・長田 以上、「じゅうたんのオバケ」と「スケスケ」がお送りしました。みなさん今日はありがとうございました!

生花を組み合わせた新しいアクセサリーの楽しみかたを提案する「花鳥風月lab」の活動もしている長田さんが、会場の生け花も手がけた。花器にした花車はこのためにネットオークションで落札したそう。今回のイベント協力はPHP研究所。トークのほかに『日本のヤバい女の子』に登場する「清姫」にちなんだ三野公翼さんによる「安珍清姫」の琵琶演奏や、昔話や民話の女の子が試したかもしれない、伊勢半本店の「紅」体験などを楽しんだ。