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「アリストテレス 生物学の創造」書評 哲学者?実は超一級の生物学者

評者: 出口治明 / 朝⽇新聞掲載:2019年10月19日
アリストテレス生物学の創造 上 著者:アルマン・マリー・ルロワ 出版社:みすず書房 ジャンル:生命科学・生物学

ISBN: 9784622088349
発売⽇: 2019/09/18
サイズ: 20cm/291,63p

【London Hellenic Prize(2015)】【Runciman Prize(2015)】形態から発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで、2400年を経て蘇る…

アリストテレス生物学の創造 下 著者:アルマン・マリー・ルロワ 出版社:みすず書房 ジャンル:生命科学・生物学

ISBN: 9784622088356
発売⽇: 2019/09/18
サイズ: 20cm/p294〜586 35p

【London Hellenic Prize(2015)】【Runciman Prize(2015)】形態から発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで、2400年を経て蘇る…

アリストテレス 生物学の創造(上・下) [著]アルマン・マリー・ルロワ

 本書の原題はラグーン(潟湖=せきこ)である。新婚のアリストテレスは花嫁を連れてレスボス島へ移り住んだ。そこには豊かな生態系に恵まれたラグーンがあった。観察の人、アリストテレスにとっては最高の環境である。彼は我が国では哲学者として知られているが、実はダーウィンと並ぶ超一級の生物学者でもあった。主著の一つ『動物誌』には人間を含めたありとあらゆる動物が取り上げられている。本書はアリストテレスの著作を引きながら、彼がいかに丁寧に生物を観察し(解剖も繰り返したようだ)多様な自然界の中から普遍的な規則性や生命の連続性などを導き出したかを教えてくれる。上下2巻の大作だが、挿入されたエピソードも多彩でまるでアリストテレスの授業を受けているかのようだ。遺伝子も進化論もない世界でアリストテレスは生物学をゼロから創造した。彼はまさに「ピュシコス(自然を理解する人)」だったのである。