友達は多ければ多い方がいいと、子どもの頃は思っていたが、最近は、量より質だと思うようになった。SNSの発達で、一度きりしか会ったことない人でさえ「友達」に認定され、学生の時にはよく会っていてもここ数年会っていない「旧友」とも何となく会っている感覚になる。繋がっていることは決して悪だとは思わないけれど、果たしてこの「友達」の中にどれぐらい、いまの私のことを考えてくれている/思ってくれている人がいて、反対に、今の私はこの「友達」の中のどれぐらいの人のことを考え/思っているのだろう。時々、ふと寂しさを覚える。
昨年秋、福井に行った。大学のサークルの同期、女子5人組で、1泊2日の弾丸旅行である。
兵庫、大阪、神奈川、東京と住む場所もバラバラで、金融、メーカー、広告、芸能、そしてフリーのライターと、職業も全然違う。だけれど、仕事に対する取り組み方とか、人生の楽しみ方とか、そういう哲学的な部分で共通項が多く、昔話だけではなくて、現在進行形の話題も話せて、心地よい。それでいて、男の趣味が違うので、女子会らしく語り合える。大学を卒業しておよそ10年が経とうとしているが、その間ずっと、付かず離れずの距離感で、悩みを共有し、決断を応援し、叱咤激励し合ってきた。まぁ、学生の頃から仲は確かに良かったが、社会人になってから、より「ワンチーム」感が出てきたように思う。
そんな女子5人組で旅行をする。それはそれは楽しいイベントである。あ、ちなみになぜ福井かというと、関西と関東のちょうど間ぐらいだからという理由以外は特にない。
全員で会うのは1年ぶりなのに、福井駅で待ち合わせの瞬間から、ノンストップで話が続く。永平寺、県立恐竜博物館、東尋坊、あわら温泉、と福井県内の観光スポットをちゃんと抑えつつ、語り続ける。深夜2時、いや深夜3時ぐらいまで。下手をしたら人が話す会話の1ヶ月分ぐらい話をしたのではないかと思うが、気を使わず、ストレスもなく、ただただ笑っていた。
アラサー女子というのは厄介な面がある。結婚、出産などライフステージが変わる人が多いので、話題が変わるのだ。仕事の話しかしなかったような子が、妊活の話しかしなくなったり、恋愛の話しかしなかったような子が、子育て論を語ったり。いや、それはそれでいいのだけれど、それぞれが違うライフステージにいることを実感し、何となくぎこちなさが生まれてしまうことが多い。
だけれど、福井の旅は、そういうややこしいことは一切抜き。よく話題が尽きなかったなとも思うけれど、あぁ、本当の友達ってこういう関係なんだろうなと改めて思った旅だった。
松浦弥太郎さんの本で『ほんとうの味方のつくりかた』(ちくま文庫)という本がある。仕事や暮らしで行き詰まった時に、松浦さん流の生き方のアドバイスが詰まっている本なのだけれど、その中に「友人」に関する記述があった。
じつは僕には友人は五人しかいません。僕にとって友人は、どんどんふえるようなものではないのです。知り合いはふえますが、友人は五人いれば十分だと思っています。いや、五人もいてくれてありがとうとさえ思うのです。(147ページ)
家族というのは他の人と比べるとちょっと特別な存在ですから、それ以外で考えると、友人というのは、人間関係において、自分のもっとも身近な存在で、一番大切にしたい味方です。何も持っていなくても、何もできなくても、心の通じ合った友人がいれば、なんとか生きていける、そのように思っているぐらいです。(146ページ)
次はまた1年後ぐらいに5人全員で会えるといいね。それが今、密かな私の支えになっている。