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ドナルド・キーンさんしのぶ「黄犬忌」 平野啓一郎さんとロバート キャンベルさんが対談

戦後日本文学の「一番の理解者」「重要な証言者」

 昨年2月に亡くなった日本文学研究者ドナルド・キーンさんについて、親交のあった作家の平野啓一郎さんと日本文学研究者ロバート キャンベルさんが、先月24日の命日にあわせて東京都内で公開対談を行った。この日を「黄犬(キーン)忌」と呼び、キーンさんを顕彰してイベントを行う、その第1回。

 初期の活動について、キャンベルさんは「1950~60年代に、古典を研究しながら現代小説を読み込み、選定し、翻訳していた。研究書も書けば随筆も書く、稀有(けう)な存在だった」と語った。仕事は多面的で、年代によっても変わってゆく。

 平野さんは「一般向けの紹介者でもあり、評伝作家としても優れた文体を持っていた」として、「戦後の作家たちにとって、自分の本が海外でどう読まれるのかは、夏目漱石や森鴎外からは学べない。キーンさんを通して、欧米人からはこう見えるのかと理解していた」と続けた。キャンベルさんも「キーンさんの交遊の記録はこれから検証されるだろう」と話した。

 この日の演題は「ドナルド・キーンとは何者であったのか」。その答えは。「日本の戦後文学の一番の理解者」(キャンベルさん)であり、「戦後文壇の重要な証言者」(平野さん)。(中村真理子)=朝日新聞2020年3月4日掲載