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「いないいないばあ」触ってみて 点字・触図つき絵本刊行

 昨年11月に国内の絵本で初めて発行部数700万部を超えた「いないいないばあ」(童心社)の「てんじつきさわるえほん」が、今月刊行された。松谷みよ子さんの文と瀬川康男さんの絵に、点字と、絵の輪郭や色の違いを凹凸で表現した「触図(しょくず)」が、透明樹脂インクで盛り上げ印刷されている。赤ちゃんが初めて出会う絵本として読み継がれてきたが、「より多くの子の『初めての1冊』に」と刊行が決まった。税別3600円。

 文はそのまま点字に訳しているが、触図は絵と全く同じではない。図が複雑だったり、線と線が近かったりすると、指先で形が読み取りにくいため、形を調整している。盲学校の子どもたちにも実際に触ってもらい、意見を聞きながら修正を重ねた。

 童心社が点字つき絵本を出版するのは今回が初めて。出版社や印刷会社、点訳ボランティアらでつくる「点字つき絵本の出版と普及を考える会」に、2015年から童心社も参加し、年2回の勉強会に参加しながら、出版の準備を進めてきた。編集部の西尾薫さん(31)は「目の見えない子も、見える子も、一緒になって楽しめる。それぞれに発見があるはず」と話す。(松本紗知)=朝日新聞2021年1月30日掲載