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震災避難者の姿、ウクライナ難民への危惧 3・11を考える催し、作家らが語る

 東日本大震災を考える日本ペンクラブのイベント「11年目の『3・11』―コロナ禍の春に向き合う―」が19日、東京都内で開かれた。ペンクラブの「子どもの本」委員会が企画。原発事故後の福島について現地の状況が報告されたほか、作家らによるシンポジウムがあった。

 福島の現状を報告したのは、原発事故後、現地へ通い、取材を続けてきたフリーライターの吉田千亜さん。放射能の被害を恐れ、母子だけで県外に避難した人たちの苦難に迫った『ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者』などの著書がある。「時間が経つにつれて避難した人たちの姿は見えなくなっていく。いま、ウクライナからの難民の人たちに支援が集まっているけれど、原発事故の状況を見てきた私からすると、その支援が何年続くのか、非常に心配」と話した。

 作家で岩手在住の柏葉幸子さん、美術・絵本評論家の松本猛さん、作家の森絵都さんは、それぞれ震災をテーマにした著作について語り合った。オンラインで参加した柏葉さんは震災について執筆をはじめた経緯を振り返り、「いつもなら、私ごときが取り上げるべき問題ではないと尻込みするところを、とにかくこんなことがあったということを知らせなきゃ、という思いで短編をこつこつと書き出した」と話した。(興野優平)=朝日新聞2022年3月23日掲載