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詩人・向坂くじらさんが国語専門塾「ことぱ舎」を開塾 受験指導も創作も

向坂くじらさん

 「実用的」な言葉の対極にある存在として敬遠されがちな詩。けれど、それは「私たちにとってとても大切なもの」――。そんな思いを抱いた一人の若手詩人が、国語専門の塾を開いた。4席だけの小さな教室の中に、言葉の広大な宇宙を創り出そうとしている。

 谷川俊太郎さんや草野心平、アレン・ギンズバーグにマヤコフスキー……。埼玉県桶川市にある学習塾「ことぱ舎」を訪ねると、受験勉強に用いられる一般的な教材とともに、古今東西の詩集が書棚にひしめく。詩人の向坂(さきさか)くじらさん(27)が自ら実現させた、念願の空間だ。

 小さな頃から詩や物語などの創作を続けていたという向坂さんは、大学時代に東京都内の国語専門塾などで講師を経験。そのかたわら、子どもたちに向けた詩作の体験講座や、音楽を交えた詩の朗読会などを幅広く開催してきた。受験指導と詩の導き、それぞれにやりがいを抱く一方、「両方を結びつけられないか」という思いが強くなっていった。言葉を通じて他者を理解し、自らの思いを伝えようとする喜びは、誰にも共通するのではないかと。

 「ことぱ舎」が開塾したのは今年2月。身構えず、言葉に触れる楽しさを気軽に知って欲しいとの願いを名前に込めた。小学3年生から中学2年生までが対象で、1回の定員は4人。生徒の希望に応じた指導を行うが、折に触れて詩集を紹介したり、詩作を手引きしたりといった時間も取っていきたいと向坂さんは言う。

 「人間関係の中にいる自分と、もっと広い、宇宙の中にいる自分。その両方がそろってこそ、人は自らの言葉を本当の意味で使えるようになるのでは。詩は、その大きな一助になる」と向坂さん。自身の第1詩集も、7月末に刊行される予定だ。「いま詩はあまり顧みられないが、ことぱ舎が、子どもたちにとって新たな言葉の世界を開くきっかけになれば」と話す。

 ことぱ舎に関する問い合わせは、向坂さん(kujira.sakisaka@gmail.com)。(山本悠理)=朝日新聞2022年6月15日掲載