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「私立探検家学園1 はじまりの島で」ほか子どもにオススメの3冊 スリル満点の授業、ワクワク

「私立探検家学園1 はじまりの島で」

 主人公の松田コロンは小学5年生。春から山奥にある「私立探検家学園」に通うことになった。本人は探検家になりたかったわけではないが、探検家のおじいちゃんが学園への入学を申し込んであったからである。入学してみると、その学園では、一般的な授業のほかに探検家になるためのスキルを身につける「実習」という独特な授業が用意されていた。その授業の様子はスリル満点で目が離せなくなることだろう。

 コロンと世界中から集まった個性的な仲間たちが、どんなふうにミッションをクリアしていくかワクワクしながら読んでほしい。その他にもいくつも謎がちりばめられていて、話が続いていくので、続編を読むのも待ちどおしくなる。(斉藤倫著、桑原太矩画、福音館書店、1320円、小学校中学年から)【ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん】

「うまのこと」

 自分が自分のままでいられない学校がきらいな主人公、うま。学校生活の中で抱く違和感。おかしいと思うのに、声をあげることができない。目立たないように毎日をやり過ごしている。しかし、ある出来事をきっかけに自分の居場所を手に入れようと奮闘する。

 うまが語る言葉の一つ一つが、自分自身をくるんでいる色々を、そっと剥がしてゆく。うまと一緒に、自由になっていく。好きなものを好きだと声に出せる幸せを噛(か)みしめる。「わたしはわたし!」。そう声をあげる勇気が持てる一冊だ。(少年アヤ著、玉川ノン絵、光村図書出版、1760円、小学3年生から)【丸善丸の内本店児童書担当 兼森理恵さん】

「たびする木馬」

 メリーゴーラウンドの木馬として生まれたブラン。やがて乗る人も減り、名付け親の少年や兄弟の木馬と別れて隣の国の遊園地へ。そこも閉園になると、またバラされ、荷車に乗せられて旅をします。村から村へ、港から港へ。体が汚れて軋(きし)んできても、背中の笑い声を聞くと幸せな気持ちに。題名とは裏腹に、自分では動けない木馬が、全画面の中央に固定して描かれます。周りの情景や色彩、人々の様子が変化することで、出会いと別れ、孤独と希望、長い月日の豊かな旅が感じられます。(牡丹靖佳作、アリス館、1760円、5歳から)【絵本評論家・作家 広松由希子さん】=朝日新聞2022年12月24日掲載