日記だけでなく毎日続けるものは何一つできたことがない。運動や語学や楽器の練習も続かない。三日坊主ならまだいいけど、一日坊主やなあ、といつも思っていた。週に何回というのもできたためしがないし、映画や本の感想を書こうと張り切ってノートを買い、数ページだけであとは真っ白なのが何冊もある。
英語を使う予定があって、春頃から英会話学習のアプリを使ってみている。一日に十五問ほどの短い問題に解答していく。五分ほどしかかからないが、もちろん、毎日は続かなかった。「連続記録が途切れちゃうよー」と何回も通知がきても翌日になってしまうことがよくある。
ところが。一日やらなくても次の日にやると、何日連続の記録の表示がちゃんと増える。ゼロにならずに、それまでの日数に足してくれる。これが自分には大変によかった。あー、また続かなかった、やっぱり私はだめだ、という気持ちになってやめがちだったのが、なんか続いてるっぽい、という感じで、五か月以上続いている。三日放置するとリセットになりかけたが、用意された問題にチャレンジすると戻った。今日は「百三十三日連続！」と表示されている。できた日が三分の二くらいなのを「できてない」とするか、できた日を積み重ねて「何日連続」とするか。「連続」の意味にこだわると違うと言われるかもしれないが、でも、できた分を数えてくれる仕組みだから続けられている。
以前、働く若い女性にインタビューする連載をしていて、仕事や趣味を聞いた。パンを焼くのが好きな人がいて、だけど月に二回ぐらいだから趣味だなんて言えない、と言う。もっとやっている人がたくさんいるから、とのことだった。完璧、とまではいわないまでも、かなり高いハードルを越えてないと「できてない」「やってない」と思ってしまうのは、多くの人にあることで、ほんとはじゅうぶんやってるし、これでめっちゃがんばってる、と思えるほうが、全然いいと思う。＝朝日新聞2024年10月2日掲載
