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(本の舞台裏)「ちくま新書」が創刊30周年

 竹田青嗣『ニーチェ入門』(1994年)、養老孟司『無思想の発見』(2005年)などのヒット作を生んだ「ちくま新書」が、9月で創刊30周年を迎えた。

 「新書の初心・基本に帰って、ど真ん中に速い球を投げこむ」をコンセプトに筑摩書房から創刊。「岩波新書」「中公新書」「講談社現代新書」などに続く、新しい教養新書のレーベルとして、書き下ろしの新書を刊行してきた。同社によると、今年9月までに1832タイトル、3200万部を発行したという。

 なかでも「現代語訳シリーズ」は人気で、渋沢栄一著、守屋淳訳『論語と算盤(そろばん)』(2010年)は65万2300部、福沢諭吉著、斎藤孝訳『学問のすすめ』(09年)は40万4700部と、ちくま新書の歴代発行部数で1位と2位の座を占めるベストセラーとなった。

 近年では、小泉悠『ウクライナ戦争』、東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』など、専門家が現代社会の問題を分析したタイトルが売れている。

 9月下旬から全国約250の書店でフェアを開催している。橋本陽介編集長は、世界は複雑化しているとし「自分の頭で考える手掛かりとなるような一冊をこれからも刊行したい」とコメントした。(真田香菜子)=朝日新聞2024年10月5日掲載