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結局、失敗だったのか

「平成の大合併」の政治経済学 著者:中澤 克佳 出版社:勁草書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政

価格:4860円
ISBN: 9784326302505
発売⽇: 2016/06/30
サイズ: 22cm/230p

なぜ自治体は合併したのか。合併協議はどのように進んだのか。合併は自治体財政に何をもたらしたのか。「意思決定」「合意形成」「財政規律」というキーワードを基に、政治経済学的観…

評者:諸富徹 / 朝⽇新聞掲載:2016年09月04日

「平成の大合併」の政治経済学 [著]中澤克佳、宮下量久

 1999年に始まった平成の大合併で、自治体数は3229から1727に激減。明治、昭和に次ぐ第3の大規模合併となった。行政を効率化すると喧伝(けんでん)されたが、実際はどうだったのか。本書は、データに基づく実証的な検証を行う。
 まず、自治体にとって合併に向けた財政支援措置が、大きなインセンティブになったことを明らかにする。だが、そのことは逆に合併自治体の財政規律を弛緩(しかん)させた。合併自治体は、地方債残高を非合併自治体よりも増加させたからだ。その財源は地方交付税で賄われる。つまり、非合併自治体の住民にも、膨張した費用のツケは回るのだ。しかも当初の想定と異なって、行政費用の効率化はもたらされなかったという。
 大合併は結局、失敗だったのか。著者らは結論を急がず、さらに長い目でみる必要性も指摘する。とはいえ、合併の定量的な中間評価が今後の議論の土台となることは間違いない。貴重な成果を歓迎したい。