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疑似科学、近代の欧米を席巻

骨相学 能力人間学のアルケオロジー 著者:平野 亮 出版社:世織書房 ジャンル:哲学・思想・宗教・心理

価格:3456円
ISBN: 9784902163773
発売⽇:
サイズ: 22cm/296,14p

骨相学を、西洋思想史の中に長い系譜と伝統を有する能力論の一つとして再構成・再評価。そして、そこに表れてくる骨相学の「能力」と「教育」という示唆に富んだ主題を明らかにし、分…

評者:佐倉統 / 朝⽇新聞掲載:2015年05月03日

骨相学—能力人間学のアルケオロジー [著]平野亮

 頭の形を見れば、その人の能力が分かる——。こんな怪しげな主張で19世紀前半のヨーロッパやアメリカを席巻したのが骨相学である。今でこそ疑似科学の典型ともされるが、提唱者らが目指したのは、実証的・合理的に人間の〈能力〉を分析する、最先端科学の構築だった。それゆえ、文豪ゲーテや社会学の祖コントらからも大いに称揚されたのだった。
 そして、骨相学が中心にすえていた「能力(ファカルティ)」の概念は、さまざまに形を変え、現在の能力心理学の中でも生き続けていると著者は指摘する。もっと個性を重視せよ! 生徒の能力にあった教育を! という、一見もっともらしい主張は、一歩間違えれば骨相学のように能力差別の温床ともなりかねない。歴史に学ぶ意義は、同じ轍(てつ)を繰り返さないためにこそあるだろう。
 であればなおのこと、骨相学が人種差別や階級差別に援用された点などについても、もう少し突っ込んだ記述が欲しかった。
    ◇
 世織書房・3456円