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「なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか」書評 開発と省エネ、自治体がリード

評者: / 朝⽇新聞掲載:2015年10月04日
なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか 著者:田口 理穂 出版社:学芸出版社 ジャンル:自然科学・環境

ISBN: 9784761526030
発売⽇: 2015/08/25
サイズ: 19cm/199p

なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか [著]田口理穂

 日本では失敗と「誤報」されることも多いドイツのエネルギーシフト。だが、2014年の総電力消費における再生可能エネルギー比率は26・2%、他の電源を抜いてトップに立った。本書は、その秘密を解き明かしてくれる。
 カギを握るのは、住宅と公共施設の省エネだ。ハノーバー市では市が主導し新築の3割がパッシブハウス(太陽光と自然の熱を取り入れ、断熱をしっかり行う建物。暖房エネルギー消費を8割方削減できる)になった。条例で公共施設のパッシブ化も進める。
 日本の自治体の参考になるのは、ドイツの自治体が「エネルギー公社」を保有している点だ。そこに技術、制度、政策に習熟した専門家集団がいるため、省エネ、再エネ開発、電力と副産物の熱の併給といった独自政策に取り組める。
 もちろん、抱える課題も詳しく取り上げられている。しかし自治体がしっかりイニシアチブを取り、市民がそれを支持する限り、ドイツは今後も前進し続けるだろう。
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 学芸出版社・2160円