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【猫の日】溺愛から看取りまで「猫を愛でる」本

 猫と読書は、なぜか相性が良いように思います。散歩の必要な犬と違い、飼い主もインドア派なのでしょうか。「好書好日」のサイト内にも、猫のイラストがちょこちょこと姿を見せます。ということで厳選猫本を。

  1. 猫の文学館 1 世界は今、猫のものになる(ちくま文庫)
  2. 猫にかまけて(講談社文庫)
  3. さすらいのジェニー(大和書房)
  4. 猫つぐらの作り方(誠文堂新光社)
  5. 長い長いさんぽ(KADOKAWA)

(1) 猫の文学館 1 世界は今、猫のものになる

 ちくま文庫のアンソロジーは気が利いたものが多いですが、これもその一つ。生涯500匹の猫と暮らした大佛次郎、「ノラや」の内田百閒から、向田邦子に村上春樹まで、作家たちの猫に関する随想を集めています。「Ⅱ」には漱石も登場。名文家たちの猫愛を、ちびりちびりと読む至福の時間を過ごせます。まずはここから。

(2) 猫にかまけて

 「語り口の魔術師」による猫エッセイ。行き場を無くした猫たちとの出会い、町田家での日常生活、そして別れがつづられます。以後4冊にわたるシリーズはエッセイというよりも壮大な猫大河ドキュメント。小説での冗舌な語り口は抑制ぎみで、それゆえに面白うてやがて哀しき「町田節」を味わえます。

(3) さすらいのジェニー

 気がつくと猫になっていた少年ピーター。途方に暮れる彼に、雌猫ジェニーが救いの手を差しのべます。猫としてどう生きるか、人間といかに接するかを学びながら始まるピーターの冒険譚。猫のしぐさの裏にはこんな思いがあったのか、と膝を打ちつつ、作者の人間観察の鋭さにうならされる一編。

(4)猫つぐらの作り方

 かまくら型の稲わら製寝具「猫つぐら」(猫ちぐら)。小さな入り口からひょっこっとのぞく顔を想像するだけで、「く~う、たまらん」となるのは必定です。飼い主なら一度は買いたいと思うけど、意外と高い。ならば自分で作ってみようという思いにこたえた実用書。不器用な人に向け(?)に小物の作り方も載ってます。

(5) 長い長いさんぽ

 どんなに愛でた猫でも、いつかは別れがやってきます。そんなときに備えて読みたいマンガ。愛猫を亡くした後に読むと、ページをめくるごとに目がうるみ、トラウマが残る危険な本でもあります。好書好日の編集長はタイミングを間違えて2度と読めなくなってしまいました。でも本棚の片隅にそっと差し込んであるそうです。