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台湾、ロシアにフィンランド…現地を知れば旅は楽しい 「旅の本屋 のまど」オススメの旅本4冊

  1. TAIWAN FACE Guide for 台湾文創」(監修・小路輔 トゥーヴァージンズ)
  2. 公衆サウナの国 フィンランド」(こばやしあやな 学芸出版社)
  3. 鉄路2万7千キロ 世界の超長距離列車を乗りつぶす」(下川裕治 新潮文庫)
  4. 「おそロシアに行ってきた」(嵐よういち 彩図社)

台湾 「食べ歩き」だけでない魅力

(1)「TAIWAN FACE Guide for 台湾文創」

 台湾では今、「文創」という表現がよく使われています。「文化創意」の略語で、古き良きものから新しいものを創り出そうという意味です。この本では「文創」をテーマに、新しいことに挑戦している台湾人や日本人50人を紹介しています。

 日本人にとって、台湾は「食べ歩き」のイメージが強いと思うんです。それは台湾の魅力の一つですが、一方で先進的なことをやろうとしています。若い人たちが台湾人としてのアイデンティティーを持ち始めているそうです。彼らが中心になって、昔からあるものをうまく生かして、新しいお店や場所作りに取り組んでいます。

 台湾に対して持っているイメージを更新してくれる本です。

※主要都市:台北/主要言語:中国語/時差:1時間/日本から直行便で約3時間半

フィンランド 自由で寛容な精神伝わる

(2)「公衆サウナの国 フィンランド」

 著者のこばやしあやなさんは、フィンランドの大学院を修了しています。そのときの修士論文のテーマ「公衆サウナ」が、この本のベースになっています。

 フィンランドといえばサウナのイメージがありますが、いったんは廃れながらも新しい公衆サウナがどんどんできているそうなんです。それを目当てに海外からの旅行者が増えているとか。

 公衆サウナを楽しむ文化から、フィンランド人の自由で寛容な精神が伝わってきます。僕も以前行きましたが、物静かで少し距離を置いてコミュニケーションをとるところが日本人と似ているなあって。この本を読めば自然体で旅行ができて、居心地がいいと感じるのではないでしょうか。

※首都:ヘルシンキ/公用語:フィンランド語、スウェーデン語/時差:6時間(夏)/日本から直行便で約10時間

アメリカ ゆったり時間を使う贅沢

(3)「鉄路2万7千キロ 世界の超長距離列車を乗りつぶす」

 この本は、旅行作家の下川裕治さんの紀行本。長距離列車を使って5カ国を縦横断しているんです。

 アメリカの章では、全米鉄道旅客公社(アムトラック)のテキサス・イーグル号で、シカゴからロサンゼルスまでの行程を紹介しています。3泊4日かけて大陸を移動する様子から、国土やスケールの大きさが体感できますよ。

 効率よく旅先を巡るノウハウやコストパフォーマンスを重視する人が増えています。スピードが求められる今の時代の流れと逆行しているかもしれませんが、のんびりと巡る旅から見えてくるものがあるはず。時間をゆったり使うことの贅沢(ぜい・たく)さ、みたいなものをこの本から感じてください。

 ※首都:ワシントンD.C./主要言語:英語/時差:14時間(ワシントン)/日本から直行便で9時間以上

ロシア 旅行しやすく 人も親切

(4)「おそロシアに行ってきた」

 旅行作家の嵐よういちさんは、世界各国の危ない場所や、人があまり行かない地域に行って旅行記を書いています。行く前のイメージからつけたタイトルは怖そうですが、実際は旅行しやすくて人も良かったという体験をまとめています。

 中でも樺太の章がおもしろい。日本の領地だった時代の建物も残っていますし、朝鮮系の人や中央アジア系の人など多様な人種がいて国際色豊か。キムチも食文化として根付いているんですよ。

 僕もロシアに行きましたが、旅行しやすくて現地の人も親切でした。日本ではロシアの情報が入手しづらかったり、一面的だったりします。だからこそ実際に行くと、良い意味でイメージが裏切られる国です。

※首都:モスクワ/公用語:ロシア語/時差:6時間(モスクワ)/日本から直行便で約10時間

(構成・渋谷唯子、尾島武子)