「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。
今回は、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の世界を味わいます。
貧しく孤独な少年ジョバンニは、ケンタウル祭の夜、親友のカムパネルラと一緒に銀河鉄道に乗り込み、星空を巡ります。
はくちょう座、天の川、南十字星……。美しくも哀しげな夜空の旅を描いた物語です。
宮沢賢治の死後、草稿が見つかった作品で、さまざまな解釈がなされています。
「雁の足」を食べる
旅の途中、ジョバンニたちが乗る銀河鉄道にひとりの鳥捕りが乗り込んできます。
鶴や雁、白鳥、サギなどを捕まえて押し葉にし、食べるという鳥捕りの言葉に、信じられないといった反応をみせるジョバンニとカムパネルラ。それに対して鳥捕りは、黄色い雁の足を引っ張りだし、2人に勧めてきます。
ジョバンニは、ちょっと喰べてみて、(なんだ、やっぱりこいつはお菓子だ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。……中略……)とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。
黄色い、鳥の足のような形、食べるとぽくぽくする……といったヒントをもとに、好書好日編集部が考えついた「雁の足」は芋けんぴ。
極細の芋けんぴもいいですが、おうちで手作りしたやや太めの芋けんぴも味わい深いものです。雁の足の太さを想像しながら細切りにしたサツマイモを揚げて、砂糖衣を絡めればできあがり。
ひとつ食べ始めたら、ぽくぽくが止まらなくなりました。秋のおやつにおすすめです。