秋の行楽日和。どこかに出かけたくなる季節になりました。そこで今回紹介したいのが、旅気分を味わえる「ブルートレイン大図鑑」。
本書は、2018年10月に刊行された雑誌「旅と鉄道」増刊号の「ありがとうブルートレイン」をベースに、加筆・再編集のうえ、まとめたもの。「ブルートレイン」を「青い車体色の20系、14系、24系を使用した寝台特急」と定義し、歴代25列車を登場順に取り上げています。さらに客車の系列ごとにその特徴や誕生の経緯も解説。格下げされたブルートレイン客車を使った夜行急行やブルトレ客車を牽引してきた主要な機関車までも網羅しており、ブルートレインの歴史が辿れる決定版ともいえる一冊です。
その始まりといえるのは、東京~博多間を結ぶ寝台特急「あさかぜ」。「あさかぜ」自体は1956年11月に運行を開始しており、松本清張『点と線』のアリバイトリックの一つにも登場しています。1958年10月に20系客車が導入され、元祖ブルートレインとして個室や食堂車などの豪華な設備で「動くホテル」と呼ばれるように。国鉄時代末期以降、ミニロビーやシャワー室などが加わるグレードアップ化が始まったのも「あさかぜ」からなのだとか。
筆者が唯一乗ったことがあるブルートレインは、2015年3月に定期運転を終了し、最後のブルトレとなった「北斗星」。列車の中で夜を明かすだけで非日常感に満たされ、ワクワクした思い出が本書を見ていると蘇ります。
現在は残念ながら現実の世界ではブルトレの旅は叶いませんが、本書で“脳内ブルトレの旅”を楽しんでみてはいかがでしょうか。