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「まいにちたのしい」 ラップのリズムに心うきうき  「子どもの本棚」オススメ3冊

「まいにちたのしい」

 ラップユニットKAKATOとアーティストのオオクボリュウによる絵本。
 ラップの絵本なんて、いったいどうやって読むの? 大丈夫、ちっとも問題ありません。絵本を開いて、言葉に音をのせてみれば、あら不思議! すらすらリズムになってくる。音に身をまかせると、自然と体も揺れてくる。なんだか絵までも動いているように見えてくるからびっくりです。
 起きてから眠るまで、1日をこんなにも弾むように過ごせたら、ほら「まいにちたのしい」! 自由に楽しく気の向くままに、リズムに乗って声を出すことを楽しもう。
 読む人によっていろんなリズムが生まれます。あなたの「まいにち」はどんな感じ?(丸善丸の内本店 児童書担当 兼森理恵さん)

「巨大空港」

 世界の空への玄関口である成田空港の1日がわかりやすくていねいに描かれている絵本。圧巻なのは空港ターミナルの全景を見わたせるように工夫された1.2メートルの両びらきのページで、つい見とれてしまいます。飛行機を利用する乗客をはじめ、空港で働くさまざまな人たちや、整備工場、消防署、そして機内食工場や貨物輸送機のエリアまで、くまなく紹介しています。
 空港を利用したことのある人やない人にも、その空間にいる時のわくわく感がしっかり伝わってきます。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん)

「オオカミが来た朝」

 オーストラリアのある一家4世代の物語を、子どもをめぐるエピソードでつづっていく作品。一家にからめて語られるのは、不安や恐怖、認知症老人との触れあい、難読症の人や移民への差別、民族間の争い、家族との葛藤などだが、語り口にはユーモアと奥行きがあり、味わいながら読める。最初の物語の主人公ケニーが、最後の物語では曽孫の前に少年の姿であらわれて「くじけるな」と呼びかけるのだが、その言葉は子どもたちみんなに向けた作者のメッセージにも思える。(翻訳家 さくまゆみこさん)=朝日新聞2019年10月26日掲載