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岩波ジュニア新書が創刊40年 累計908点、若者に寄り添って 

 1979年創刊の岩波ジュニア新書が今年、創刊40年を迎えた。これまでに累計908点が刊行され、中高生を中心に長く読み継がれている。

 最近10年間のベストセラーは、トップが川北稔『砂糖の世界史』=写真=、次いで茨木のり子『詩のこころを読む』、橋本武『〈銀の匙(さじ)〉の国語授業』の順だ。メディアリテラシーや環境問題など「探究型の学び」のほか、不登校や同調圧力など、悩みに寄り添う分野にも力を入れる。

 共通1次試験が導入された79年、生きづらさを感じる若者にメッセージを発したいと創刊された。山本慎一編集長(56)は「当初は大人からのメッセージを示す形が多かったが、今は課題を提供し、主体的に考えてほしいという提案型に変わってきている」と話す。

 池上俊一『お菓子でたどるフランス史』『情熱でたどるスペイン史』などのたどるヨーロッパ史シリーズの5冊も人気だ。全部読んだ大学2年生の谷井彩夢(あゆ)さん(21)は「とっつきやすくて読みやすい。『情熱』『お菓子』など違った味わいの歴史観が面白い」。

 難解な専門用語を排した分かりやすい表現がジュニア新書の特徴だ。「ビジネスマンの入門書やシニアの学び直しにも役立ちます」と山本編集長。(山根由起子)=朝日新聞2019年11月30日掲載