
詩人・谷川俊太郎さんが最晩年に語った言葉と、新旧の詩をまとめた本「行先(いきさき)は未定です」が刊行された。「いい音楽には、自分がない そういう言葉を書けたらいいな」。創作への執念や、歩行の自由を失った老境の機微が、生々しく伝わる。
本紙朝刊で昨年4月に連載され、デジタル版で公開中のインタビュー企画「谷川俊太郎 未来を生きる人たちへ」から111の言葉を収録。「いきる」「はなす」「あいする」「きく」「つながる」に、新たに「しぬ」の章を加え、44編の詩を添えた。11月13日に亡くなる2週間前には、こう語っていたという。「生きることはわかったような気がするんだけど/死ぬっていうのはどういう感じなのかな」。朝日新聞出版、1980円。(藤崎昭子)=朝日新聞2025年7月9日掲載
