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「銀のアンカー」で知る、就職コンサルタントのお仕事 自分を知るきっかけを作る

文:佐藤直子

 街中でリクルートスーツに身を包んだ学生の姿をちらほら見かけるようになってきました。コロナ禍で手探りしながらも、就職活動を始める学生も多いのでは? 『銀のアンカー』(三田紀房・関達也、集英社)は、あの『ドラゴン桜』の三田紀房が原作を手がける就職活動をテーマにした漫画。人生のスタートになる仕事をいかに考え、選ぶべきかをコンサルタントの視点から教えてくれます。

 アメリカに渡り、並み外れた行動力で数々の大物ビジネスマンをヘッドハンティングし、驚異的な実績を上げる白川義彦。日本への帰国後、参加していたセミナーが縁で大学3年生の北沢千夏と田中雄一郎に出会い、就職活動をサポートすることになります。

「銀のアンカー」©三田紀房・関達也/集英社

 就職活動とは一体、何を準備すればいいのか? 白川は自己分析や企業研究の前に、まずは自分が何をしたいかを明確にすることが必要だといいます。「かっこよさそう」「堅そう」など漠然としたイメージや知名度から、マスコミや銀行などの仕事を選ぼうとしていた千夏と雄一郎。そんな二人に「就職は、船の碇(アンカー)を港に下ろすようなもの。自分の居場所とすべき、就きたい職業にしっかりと狙いを定め、着実にそこに向かえ」と説くのです。

 密かに憧れていたアナウンサーに、一歩踏み出せずにいた千夏の心に火をつけたのも、「自分の気持ちに正直になれ」という白川の言葉でした。初対面の白川に「就職活動の心がまえを教えてほしい」と躊躇せず聞ける千夏の瞬発力は、就活に特に必要なスキルなんだそう。一方、興味のある仕事もなく、人に誇れる特徴もないと落ち込んでいた雄一郎は、白川の出した突拍子もない課題をこなしたことによって、誠実で人に安心感を与えられるという、自分の新しい一面に気づきます。

「銀のアンカー」©三田紀房・関達也/集英社

 就職コンサルタントと聞くと、個人と仕事のマッチングと思われがちです。もちろん、採用現場では学生時代の経験よりも「素直な人柄」「熱意」「可能性」が重視されるという「就活のリアル」を教えることや、給料は「初任給より生涯給与で見る」などのアドバイスも欠かせません。しかし千夏や雄一郎のように、今まで本人が気づけなかった個性や強みを引っ張り出し、自分について知るきっかけを作るのも大事な役目。相談者が過去の自分から脱皮して成長し、行動範囲や選択肢を広げていく瞬間に立ち会うことは、この仕事の醍醐味ともいえそうです。

 社会という鏡を通してみて、自分とはどういう人間で、社会とどう関わっていくかを考えること。そこに熱意を持てる仕事があるのだと白川は手引きします。社会人になる時に自身が納得した職業に就くため、戦略と対策を立てて強く臨めと応援します。

白川義彦が教える、就職活動あるある 

  • 人の印象には、話す事によって相手にアピールする「言語的アピール」と、見た目や雰囲気で伝える「非言語的アピール」がある。自身がどちらのタイプに当てはまるかを知ることで、面接官へのアピール方法が変わる
  • 「困っている人がいたら率先して助ける方か」という質問に、ハイと即答し、その理由やどうしてそう思うかなどを自分の言葉で説明できない人は、自分をよく見せようという姿勢が面接官に伝わることが多く、内定が出にくいと言われている
  • 履歴書や職務経歴書の送付は早ければ早いほど熱意があると評価される。何でも一番最初が一番インパクトが強く、相手の心に響きやすい
  • 面接の基本は面接官が見たい、知りたいと思っていることを見せること。長所と短所をバランスよくちりばめた自然な姿を面接で見せることができれば、客観性のある人物だというアピールになる

就職に関する資格

 今回は、就職活動をテーマにした就職コンサルタントについて紹介しました。同じように職業選択の悩みや、職業能力に関する相談にのり、助言やアドバイスをする国家資格の「キャリアコンサルタント」という仕事もあります。関連した仕事としては、「キャリアカウンセラー」が挙げられます。進学、就職・転職、家庭生活など、「幅広い意味での人のキャリア」を支援します。