時は料理宅配の「戦国時代」。家に居ながらにしてスマホで購入した商品が届く、便利な時代になりました。『脱サラ フードデリバリー配達員 テンパリマンガ日記』(竹書房)は、宅配便のドライバーを15年経験した後、漫画家をしながらフードデリバリーをしているゆきたこーすけさんのコミックエッセー。勤務中に出会った愉快な人や、配達仲間から寄せられてくる「宅配あるある」などを4コマ漫画で紹介しています。これからフードデリバリーをやってみたいという方にもおすすめの1冊です。
フードデリバリーは面接や研修がなく、スマホのアプリですぐに始められる手軽さから、ゆきたさんのように副業としている人、コロナ不況の中で異業種から新たにチャレンジする人、子育てのすきま時間を有効活用する人など、様々な人が働いています。アプリをONにしている時のみ配達の依頼が入る仕組みで、「決まった金額だけを稼ぎたい」「すぐにお金が欲しい」など、生活スタイルや目的に合わせて自由に働けるのが魅力です。
大きめの四角いリュックを背負い、自転車や原付バイクに乗っている人がいたら、それはフードデリバリーの人かもしれません。リュックに飲食店から預かった料理を入れて注文者に運ぶという、一見シンプルな仕事ですが、つゆが入ったどんぶりや倒れやすいケーキ、こぼれやすい珈琲など、配達時に注意が必要なものばかりです。形が崩れやすい寿司は特に難易度が高く、ゆきたさんは自前で購入して運ぶ練習をしたそう。荷物の隙間をキャンプ用のアルミシートで埋めると保温もできて安定するなど、先輩配達員の動画を見てコツを学ぶこともあります。
効率的に稼ぐには、なじみのある街を選択するのがポイント。宅配経験が豊富なゆきたさんのように、道路やマンション、店、信号の数までをも把握しているエリアがあるのは大きな強みです。地図アプリを見る時間が省けるので、慣れていないエリアで配達した時と比べると2倍の利益の差があったというから驚きです。初めて挑戦する人は道路の高低差や工事状況などをネットで調べておくと、配達がスムーズになるそうです。
フードデリバリーが従来の出前と異なるのは、注文してから商品到着までの間、客と配達員がアプリでつながっている点です。客は配達員の位置情報を見ることができるので、配達中に「こちらの道が近いですよ」というやり取りがしょっちゅう発生します。「玄関前にいるセミを退治してください」とお願いされた、なんていうエピソードがあったり、天候が悪い時や夜の遅い時間、運ぶ荷物の量が多かった時などにはチップをもらったりすることも。対面することは多くないけれど、どこか人間味あふれるやりとりがあるのが、この仕事の醍醐味なのかもしれません。
「脱サラ フードデリバリー配達員 テンパリマンガ日記」で知る、配達員あるある!?
- ごくたまに、オーダーしていたのにもかかわらず「急用ができてしまったから、召し上がってください」と言われ、思いがけずごちそうになることがある
- 巨大マンションは、見えているのに入口がわからなかったり、オートロックが何ヵ所もあったり、エレベーターの乗り換えが必要だったりして時間がかかるので、配達員から手間に思われている
- 「配達のついでに煙草を買ってきてくれ」というメッセージが添えられることがあるが、当然対応できない
- 働いたお金でフードデリバリーを頼み、週末に料理をしない日を作るために配達員をやっている人もいる
- 家だけでなく、帰宅途中のバス停や地下鉄の駅、駐車場にとめてある車など受け取り場所は様々