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「ウンコはどこから来て、どこへ行くのか」書評 歴史の陰で重要な役割

評者: 黒沢大陸 / 朝⽇新聞掲載:2020年11月28日
ウンコはどこから来て、どこへ行くのか 人糞地理学ことはじめ (ちくま新書) 著者:湯澤規子 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット

ISBN: 9784480073303
発売⽇: 2020/10/09
サイズ: 18cm/247p

身近な存在でありながら、流せば忘れられてしまうウンコ。過去には農業の肥料として重宝されたり、反対に伝染病の元として忌避されたりした。ウンコの視点から環境、経済、世界を見渡…

ウンコはどこから来て、どこへ行くのか 人糞地理学ことはじめ [著]湯澤規子

 ウンコについて語りたいことがない人がいようか。子どもに人気のウンコ、大人だってもっと知りたい。
 紙、縄、木片、砂、ワラ、フキの葉、トウモロコシのひげ。古今東西でお尻を拭くのに使われた。
 人口増と下肥(しもごえ)による生産性向上、東京五輪と屎尿(しにょう)、高度成長を支えたバキュームカーとそのパイロット。歴史の陰にウンコあり。
 中世から近世、現代にかけて、畏怖(いふ)や信仰から、肥料として売買され、やがて汚物として嫌悪、処理されるようになったウンコ。目につくところから退けられた。いまや、江戸時代のように農地にかえせない。汚いからではなく、「私たちの食べものや下水道に流すものが変化した結果」だ。
 人類の文化や文明に重要な役割を果たしてきたととらえ、「人糞(じんぷん)地理学」として探究。「不潔」と「清潔」の二項対立では解けないウンコの未来をゴーギャンの言葉のように「どこへ行くのか」考えていく。