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佐久間裕美子さん「Weの市民革命」インタビュー 日本も自分で変えられる

佐久間裕美子さん=Atsushi“JIMA”Nishijima撮影

 「コロナのパンデミックで、9・11やリーマン・ショック以上の規模の文化シフトが米国で起きている。『革命』が始まった」と感じ、そのうねりの最前線をつづった。

 米国を20年以上、見つめている。米国の大学院に留学後、1998年にニューヨークに移住。2003年にライターとして独立し、米国のファッションや文化を紹介する記事を日本の雑誌などに書いてきた。

 コロナ禍によって人種差別の実態が可視化され、自分勝手だったはずのミレニアル世代が「Me(ミー)」ではなく「We(ウィ)」として、下の世代も巻き込みながら社会の変革を牽引(けんいん)しているという。彼らが武器とするのは不買・購買で意思を示す、消費を通じた社会運動だ。

 「米国の出来事をなぜ日本語で伝えるのかと言えば、日本の読者に自分の国のことは自分たちで『変えられる』と意識してほしいから」

 その日本と、零下11度のニューヨーク北部の森の中にある著者の家をオンラインでつないでインタビューした時は、森喜朗元首相の女性蔑視発言で揺れるさなかだった。話が及ぶと「世界にプレゼンするのに、世界標準に配慮しない日本は衝撃的で、恥ずかしい」と嘆く。

 コロナ禍は、米国社会の一員としての自分自身の責任を、初めて考えるきっかけにもなった。「食べ物など自分の手元に来る商品がどういうルートをたどるか考えたとき、能動的に関与していかないと環境破壊や差別で社会がひどくなるのを見ているだけになる」と気づいたという。そのため、アマゾンの使用をやめたり、地域のリサイクルセンターに行ったりと、試行錯誤している。

 「革命が中継されている」で書き出される本書。「革命は起きるのではない。私たちが起こすものなのだ」と閉じられている。(文・久田貴志子) <Atsushi“JIMA”Nishijima撮影>=朝日新聞2021年2月20日掲載