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神野紗希さんが俳句の魅力をやさしく指南

 俳句の魅力と作り方が一から分かるように教えてくれる一冊がある。『俳句部、はじめました さくら咲く一度っきりの今を詠む』(岩波書店)。著者は俳人の神野(こうの)紗希さん。

 第1章では、季語と現実の風景がつながるとき「世界の解像度がぐっと上がります」と呼びかける。日常のすべてが俳句になるとして、神野さん自身の句〈起立礼着席青葉風過ぎた〉〈葡萄(ぶどう)に種わたしに紙とペンがある〉などを紹介。

 第2章では俳句の鑑賞の仕方や味わい方を指南する。〈恋文の起承転転さくらんぼ 池田澄子〉〈失恋や御飯(ごはん)の奥にいなびかり 高山れおな〉といった多くの名句が紹介される。

 第3章では詠み方を丁寧に説明する。例えば、正岡子規の〈故郷(ふるさと)やどちらを見ても山笑ふ〉を挙げ、「上五・中七・下五」のリズムなどを解説する。

 神野さんはこう締めくくる。「かけがえのない世界のかけらに心ときめくとき、あなたはもう、りっぱな俳人です」(西秀治)=朝日新聞2021年7月31日掲載