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「ハコヅメ」で知る、地域警察官のお仕事 サンドバッグにされながらも、地域の安全を守る

文:片岡まえ

 永野芽郁さん、戸田恵梨香さんのダブル主演でドラマが放送中の漫画『ハコヅメ 交番女子の逆襲』(講談社)。交番(通称ハコ)勤務の女性警察官を題材にしたコメディーで、元警察官という異色のキャリアを持つ泰三子さんがリアルに描いています。

 交番勤務2週間目にして、激務の割に報われないと「めんどくさーい」「さぼりたーい」と本音がダダ漏れしてしまう素直な性格の川合麻依。彼女が勤める交番に、刑事課の元エース・藤聖子がやってきて2人はペアを組むことになります。「超美人」の藤ですが、交通違反の切符切りでディスってきた相手が去った後、「このくそ野郎」とつぶやく毒舌な一面も。そんな彼女たちですが、ボヤキながらも警察官として街の平和のために奮闘する日々を送っています。

 交番勤務の警察官は、交番の外に立ち通勤や通学する人などを見守る「立番」のほか、道案内や、落とし物が届いていないかの問い合わせ、地域住民からの相談への対応、パトカーでのパトロールなど、交替制勤務で24時間、管轄地域の安全を守っています。パトロールや巡回の際に大事なのは、違和感や些細な変化に気づくことと、管轄地域の把握。漫画の中では川合が新しくできた塾の存在を把握していたことが、連続して起きていた性犯罪の事件を解決するヒントとなりました。

©泰三子・講談社

 担当する地域で起きた事件・事故の初動捜査にも携わります。2人が担当する街ではカツアゲから、カップルの痴話げんか、「UFOらしきものが飛んでいる」「家に忍者がいる」などの突拍子のない通報まで、さまざまな出来事が発生します。無線で呼ばれると、真っ先に現場に急行。時には、孤独のさみしさから15回も同じ内容で110番して川合を呼ぶ困った人もいて、毎日てんやわんや。助けても罵声を浴びせられたり、万引き犯を捕まえても暴言を吐かれたり。理不尽な毎日にうんざりする川合に、藤は「犯人を捕まえている時よりもサンドバッグにされていることが多い」のだとこの仕事の苦労を説きます。

 その一方で、起こるかもしれなかった悲劇を防ぐことがやりがいなのだとも。犯人を取り逃しそうになったり、些細なことに気づけず犯罪を見逃しそうになったりと失敗ばかりでへこむ川合に、「ホッとしたりヒヤっとしたりを繰り返して警察官になっていけばいい」と励ますのです。

 川合や藤ら女性の警察官は、「女じゃ話にならない」となめられることもしょっちゅうですが、性犯罪の被害者支援など、女性だからこそ活躍できる現場も作中では描かれます。「女の敵は女がとっちめる」と2人は今日もパトロールに出かけるのです。

「ハコヅメ」で知る、警察官あるある?!

  • 柔道や剣道、逮捕術の訓練を署の道場で週1回程度行う
  • 深夜のパトロールなどで見えるはずのないものが見えることがあり、盛り塩をしている交番も多いそう
  • 交番勤務の食事は出前が多い。忙しくて何も食べられない時は、職場にいても遭難気分になる
  • 警察官になった途端に親戚がトラブルを持ってくる
  • 刑事課に行くとリーゼント率の高い男性が多い
  • 着メロに「踊る大捜査線」を選ぶ人が多い