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「対決」から読み解く、東国の中世史 全7巻、刊行開始

各巻二つの武家に焦点当て、新たな解釈も

 様々な武家勢力が戦いを繰り広げた中世の東国を「対決」というキーワードで読み解く歴史シリーズ『対決の東国史』(吉川弘文館)の刊行が始まった。

 全7巻。初回配本『北条氏と三浦氏』(高橋秀樹著)と『足利氏と新田氏』(田中大喜〈ひろき〉著)に次いで、このほど3冊目の『鎌倉公方と関東管領』(植田真平著)が刊行された。今後、『山内上杉氏と扇谷上杉氏』(木下聡著)、『小田原北条氏と越後上杉氏』(簗瀬大輔著)と続く予定だ。

 扱っているのは、源頼朝の異母兄にあたる源義平が木曽義仲の父の源義賢を討った大蔵合戦(1155年)から小田原北条氏の滅亡(1590年)までの四百数十年。各巻ごとに、東国を基盤に活躍した二つの武家をとりあげ、その協調と相克を軸に七つの時代と地域を描く。

 新たな角度からの解釈も試みられている。たとえば『北条氏と三浦氏』では、有力御家人を滅ぼして権力を確立した北条氏と、そのライバルとして陰謀を繰り広げた三浦氏という従来のイメージに疑問を投げかける。

 一方、『足利氏と新田氏』は、経済的には6倍の格差があり、鎌倉幕府における政治的地位でも差が開いていた足利氏と新田氏がなぜ南北朝時代に「対等な立場」で対決するに至ったかを丹念に追いかけている。

 鎌倉公方や堀越公方などが乱立した東国の中世史はこれまでややもすると「わかりにくい」とされてきたが、今回のシリーズは思い切った「単純化」によって理解しやすさを目指したのがみそだ。企画・編集にあたった国立歴史民俗博物館の田中大喜准教授は「東国の武家勢力は常に中央政権との関係を維持していました。今回のシリーズでは、中央と地方とが絡み合う、そのような視点も意識しながらの叙述を心がけました」と話す。各2200円。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2022年1月26日掲載