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「ヨシタケシンスケ展かもしれない」開催記念インタビュー ヨシタケシンスケさんのアタマのなかをのぞいてみよう

クスッと笑わせてじわじわと考えさせられる、子どもにも大人にも人気の絵本作家ヨシタケシンスケさん

普通の絵本原画展らしからぬことを

 2013年に『りんごかもしれない』で絵本作家デビューしてから、独特の角度で切り取られたテキストとかわいくて面白いイラストで、子どもから大人までをその世界のとりこにしてきたヨシタケシンスケさん。そんなヨシタケさんの「アタマのなかを見る」、初の大規模展覧会が4月9日(土)から、東京・世田谷文学館で開催される。

 最初に「展覧会をやりませんか」と声をかけられた際、ヨシタケさんは「原画の方が絵本になったものよりサイズが小さく、色もついていない僕の絵で、展覧会は無理だろうと思った」という。「でも、そんな僕があえてやるなら、美しい原画を見て感動できる絵本の原画展ではないことをやってみよう」ということで企画が動き出した。

 「わざわざ展覧会に足を運んでくれるお客様に楽しんでいただけるように」と、会場には、ヨシタケさんが各分野のプロフェッショナルとともに試行錯誤してつくり上げた「ここでしか見られないもの」「皮膚感覚で共有できること」「ここでしかできない体験」が散りばめられている。

ヨシタケシンスケさんの絵本『りんごかもしれない』の原画(一部)

本ができるまでの試行錯誤も見てほしい

 昔からヨシタケさんには、「2次元のものを3次元の立体にしたり、空間としてものを考えたりすることには、なんとなく苦手意識があった」そう。「そんな僕にとって、展覧会という現実の世界をつくることは大きな挑戦であり、アイデアを形にすることの難しさをあらためて知る機会にもなりました」と展覧会づくりを振り返る。

 「来てくれる人に楽しんでもらいたいと出したアイデアのなかには、実現不可能でいつの間にか消えていったものもたくさんあります。でも、それは、1冊の本ができるときも同じです。消えるものや省かれるものがあって、残るものがある。残るものが絵本という形になるけれど、じゃあ、消えていったものに価値はないのかというと、決してそんなことはない。展覧会では、絵本になったかもしれない、残らなかったものを見ていただくコーナーもあります」

「いろいろな“かもしれない”を味わいに来てください」と語るヨシタケシンスケさん

あんなことやこんなこと“かもしれない”世界で体験

 「ヨシタケシンスケ展かもしれない」では、じっくりと展示物を鑑賞したい大人と、サッと見て好きなことをしたい子どもがどちらも楽しめるようにと、いろいろな体験コーナーも用意されている。

 「展覧会の企画の初期段階から、展覧会を博物館的なものにしたいという思いがありました。展示物をじっくり見るだけではなく、何か体験して楽しんでほしいなと。そこでつくったのが『りんごを投げてうるさい大人を黙らせる、りんご投げ放題コーナー』や『天国と地獄をちょっとだけ体験できるコーナー』などです。そこでどうやって遊ぶのかは、来てくれた方々の自由だし、来てみてのお楽しみですが、体験も含めて『ヨシタケシンスケ展かもしれない』の世界を面白がっていただけたらと思っています」

 展覧会のグッズを楽しみにしているというファンも多いだろう。「普段使いできるかわいいグッズもたくさんあるので、ぜひボロボロになるまで愛してほしい」とヨシタケさん。会場はほとんどの場所が撮影OKなので、“かもしれない”世界にどっぷりと浸り、たくさんの“見たことない”を持ち帰ろう。

ヨシタケシンスケさん愛用の手帳に描かれた『あんなに あんなに』のスケッチ(一部)/撮影:野澤亘伸