『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』
今回は夏休みということで、子供と一緒に読める本を紹介しよう。土屋健『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』(講談社ブルーバックス・1760円)は、生命の誕生からペルム紀末の大量絶滅までの生命進化を描いた一冊。150点を超える美麗なカラー画像が本書の眼目だ。特にカンブリア紀からオルドビス紀の不可思議な生物群ときたら、本当にこんなものが生きて動いていたのかと目を見張るほかない。最新の科学的知見も数多く紹介されており、「昔見た復元図と全然違うぞ!」と驚くものも多数。値段に見合う価値のある一冊だ。
★土屋健著 講談社ブルーバックス・1760円
『富士山はいつ噴火するのか? 火山のしくみとその不思議』
『富士山はいつ噴火するのか? 火山のしくみとその不思議』(ちくまプリマー新書・924円)は、火山学の現在について、著者萬年一剛(まんねんかずたか)氏が若者向けに描き下ろしたもの。日本には、世界の7%に当たる111もの活火山が集中しているのだから、我々はもっと地学を学ばねばなるまい。本書はその入門書としてぴったりだ。
人目を引くために噴火の危険性を過剰にあおるようなことはせず、しかし必要な警告は発する。難しいことも避けずにていねいに語り、まだわかっていないことは「わからない」と正直に述べる。著者の執筆姿勢には、書き手として見習うべきものがある。
★萬年一剛著 ちくまプリマー新書・924円=朝日新聞2022年7月30日掲載