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司馬遼太郎、生誕100年の企画展 「小説や随筆だけじゃない」対談・連載・同人誌から触れる世界観

対談した98人を紹介。様々な分野に及ぶ=いずれも大阪府東大阪市 新聞記者、短編などのキーワードで作品を展示

多くの分野への関心 創造に昇華させた

 来年生誕100年を迎える作家、司馬遼太郎(1923~96)の軌跡をたどる企画展「生誕100年 司馬遼太郎の視点」が大阪府東大阪市の司馬遼太郎記念館で開催されている。新聞記者時代からの自筆原稿のほか、各界の98人もの対談相手が一目でわかる展示も。様々な分野に造詣(ぞうけい)が深かった司馬の世界観の一端に触れることができる。

 湯川秀樹、岡本太郎、松下幸之助……。パネルで一覧できる「対談したひとびと」の顔ぶれはなんと多彩か。テーマは104に及ぶ。「燃えよ剣」「覇王の家」「花神」などの題がずらり。新聞、週刊誌で連載した小説やエッセーの切り抜きから54点を集めたタペストリー(縦3・4メートル、横2・5メートル)も存在感を放っている。

 「小説や随筆だけでなく、対談や講演、ドラマや映画といった全体から、司馬の物の見方を感じとってもらえたらと思う」。義弟で館長の上村洋行さん(79)は話す。

 新聞記者、短編、長編、文化と文明などキーワード別に展示されている。そのうち、「街道をゆく」では「三浦半島記」の自筆原稿が初公開となる。また、「近代説話」は寺内大吉と司馬が中心になって創刊した同人誌で、「楽しんで読んでもらえる物語の原点を目指したのだろう」と上村さんは言う。

新聞記者、短編などのキーワードで作品を展示=2022年10月31日、大阪府東大阪市

 「これだけ多方面に関心を持って、創造していくことはそうそうやれるものではない。あらためて大きさを感じた」と上村さん。怒った顔は見たことがなく、いつも笑顔でユーモアがあったと振り返る。

 展示は計75点。来年5月14日まで。大人500円、中高生300円、小学生200円。問い合わせは記念館(06・6726・3860)。(河合真美江)

第26回菜の花忌シンポジウム

 作家・司馬遼太郎の命日にあわせ、来年2月12日午後2時から、大阪府東大阪市の東大阪市文化創造館で開かれる。「生誕100年 司馬作品を未来へ」をテーマに作家の安部龍太郎さん、国際日本文化研究センター教授の磯田道史さん、作家の門井慶喜さん、同じく作家の木内昇さんが語り合う。司会は元NHKアナウンサーで文化外国語専門学校校長の古屋和雄さん。

 参加費千円。申し込みは往復はがき(1枚に1人)に住所、氏名、電話番号を記し、〒577・0803 大阪府東大阪市下小阪3の11の18 司馬遼太郎記念財団「菜の花忌」係へ。来年1月11日まで(消印有効)。応募多数の際は抽選。問い合わせは財団事務局(06・6726・3857)へ。=朝日新聞2022年11月30日掲載