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シルバーテクノロジー 津村記久子

 人類を信用しなくなっても、Bluetoothは善だと思う。USBは種類が多いが、ケーブルと各差し込み口に対する変換アダプタが作られ続けている限りは信頼できる。

 古いデバイスを吊(つ)り橋のように繫(つな)げながら日々使っている個人の心の叫びだ。デバイスとか格好つけて言ってるけれども、要するに古いスマホやタブレットを現役で使っているとBluetoothを酷使するし、ケーブルやアダプターにまみれる生活をすることになる、という話だ。

 仕事の主力の道具で最古のものは、二〇一〇年(十六年前)に発売された携帯タイプライターで、その次に古いのは二〇一二年製(十四年前)の中古で買った白ロム(スマートフォン筐体〈きょうたい〉)だ。他に、二〇一九年(七年前)と二〇二三年(三年前)に買い換えた過去のスマホ、二〇二二年発売(四年前)のタブレットを使用している。

 十四年前の白ロムは、ブラウザもメールアプリも立ち上がらなくなった。が、Bluetoothやケーブル+アダプタでのファイルの送受信はできている。さすがに二〇一〇年の携帯タイプライターのBluetoothはつながってくれないがやはりケーブルとアダプタを使うとファイルの送受信ができる。Bluetoothの技術者たちやアダプタを作っている人たちには尊敬の念しかない。

 次々発売する製品をことごとくわたしは見逃す。比較的新しいと思っていた二〇一九年製のスマホですら、ブラウザの動作があやしい。手持ちの機器はすぐに古くなって、「棄民ですか?」とメーカーに訴えたい夜もある。そんな中にあって、BluetoothとUSBケーブルと変換アダプタは、とにかくファイルのやりとりだけは保証してくれる。

 古い機器を往来しながら、どこかに一括でマスターを保存できないかなあ、と会社員だった頃(二〇一二年以前)に使っていたUSBメモリを出してきた。まだ使える。自分自身も含めて、シルバー人材(機器)主戦力でわたしは今日も営業中だ。=朝日新聞2026年10月7日掲載