評者: 石井美保
/ 朝⽇新聞掲載:2026年11月07日
本屋は回る
著者:五味 太郎
出版社:岩波書店
ジャンル:文学・評論
ISBN: 9784000617734
発売⽇: 2026/09/08
サイズ: 1.7×18.8cm/230p
「本屋は回る」 [著]五味太郎、増田喜昭
子どもの頃に、こんな本屋さんに出会いたかった。そう思う書店のひとつが、四日市にあるメリーゴーランドだ。私が出会ったのは大人になってからだけれど、娘が初めて自分で本を買ったのは、そういえばこの書店の京都店だった。
本書は、メリーゴーランドの店主である増田喜昭と絵本作家・五味太郎の対話を軸に、河合隼雄や谷川俊太郎と増田の対談、江國香織やあべ弘士の応援トークも収録された豪華版だ。
何といっても、五味さんと増田さんのやりとりがチャーミング。「僕はずっと子どものつもりしてるから」と増田さんが言えば、「オレはずっと大人しているつもりなんだよ」と五味さん。温かくて鋭くてちょっとトボけた、阿吽(あうん)の呼吸がうらやましい。
こんな大人が、周りにいてほしかった……と思いかけて、いや、いたいた、と幾つもの顔が浮かんでくる。人生を面白がって、真剣に遊んで、ワクワクする世界を覗(のぞ)かせてくれた大人たち。私もそんな大人になりたかった。難しい顔をしている場合じゃない、世界の中で、真剣に遊ぼう。