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憎悪のあらゆる構図を追跡調査

アメリカの汚名 第二次世界大戦下の日系人強制収容所 著者:リチャード・リーヴス 出版社:白水社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

価格:3780円
ISBN: 9784560095836
発売⽇: 2017/11/24
サイズ: 20cm/345,27p 図版16p

人種差別、排外主義、恐怖と表裏をなす報復感情−。戦時中、日系アメリカ人が直面した人種差別と隔離政策の恐るべき実態を描いたノンフィクション。合衆国史に連綿としてある暗部を暴…

評者:保阪正康 / 朝⽇新聞掲載:2018年02月04日

アメリカの汚名―第二次世界大戦下の日系人強制収容所 [著]リチャード・リーヴス

1941年12月、日本軍の真珠湾奇襲攻撃により太平洋戦争が始まった。このときからアメリカ国内(とくに西海岸)に住む日系アメリカ人はどのような状況に置かれたか、その詳細なリポートがアメリカ人ジャーナリストによってまとめられた。「一二万人以上の日系アメリカ人が自宅から追い立てられ、第二次世界大戦のあいだ中、国内一〇カ所の『転住センター』といくつかの刑務所に抑留」されたのである。
 転住センターとはいえ砂漠に建てられたその収容所は、まさにジャップと謗(そし)られる敵国人のゲットーであった。ここには財産をすべて奪われた日系アメリカ人が集められ、世代による意識の違い、所内の協力者へのリンチ、さらには巡視のアメリカ軍兵士からの侮辱と、それこそ憎悪のあらゆる構図がある。著者はこの収容所をアメリカ近代史の汚点とみるだけでなく、戦時下の人間心理の歪(ひず)みを問題にする。
 ルーズベルト大統領によって出された命令(42年2月)。それに先立ち、コラムニストのリップマンの「外と内からの攻撃」という一文はワシントン・ポストにも掲載され、「日本人の血を引く全員」を「戦略的地域から即刻一斉退去」させる方針が、国会議員らによって確認される。アメリカ国民の真珠湾攻撃への怒りは、日系アメリカ人に向けての暴力と化す。収容所内でも、日本軍の攻撃を讃(たた)える1世とアメリカに忠誠を誓う2世との間には、この状態をどう受けいれるかの対立があった。
 著者は、日系2世を含む第100歩兵大隊(第442連隊と合体)の欧州戦線でのバンザイ攻撃や2世語学兵の戦い、2世兵士の個々の体験を追跡調査している。戦後、アメリカ国内で日系2世兵を見る視線の変化についてもふれている。第2次世界大戦の裏側にひそむそれぞれの国の「戦争犯罪」の総括を本書は教えている。著者の執筆の姿勢に学ぶべき点は多い。
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 Richard Reeves 36年生まれ。ジャーナリスト、コラムニスト。ニューヨーク・タイムズ政治部長などを歴任。