「そらまめくん」や「くれよんのくろくん」のシリーズなど数々の人気作を生み出してきた絵本作家・なかやみわさん(45)が、デビュー20年を迎えた。新作「くろくんとちいさいしろくん」(童心社)は異なる年齢間の交流をテーマにした。読者の声がきっかけになったという。
なかやさんは美術短大を卒業後、企業のデザイナーをしていた。コネもなく、当時はインターネットもない時代。カルチャースクールで1年間、絵本作家の川端誠さんに指導を仰ぎ、仕事を辞めて絵本作家に転じた。
「くれよんのくろくん」は、「次は何を使おうか」とクレヨンのふたを開けた時、黒があまり減っていないのを見て思いついた。引っ込み思案の主人公「くろくん」をはじめ、10色のクレヨンごとに性格を描き分けた。
シリーズ5作目となる8年ぶりの新作では、初めて白いクレヨンが登場。読者から「なぜ白が出てこないの?」という便りが届いたからだ。「しろくん」は「くろくん」の弟分の役回りになる。
シリーズは累計228万部。「気が合う子も合わない子もいて、戸惑いつつも仲良くしたい気持ちがある。子どもたちがくろくんの集団と実体験を重ね、共感してくれたのでは」と、なかやさん。大切にしてきたのは「子どもが本当に楽しめる面白いお話を書きたい」という気持ちだ。
「トレンドに流されず、子どもたちが望んでくれる楽しい作品を届けたい」
(見市紀世子)=朝日新聞2017年9月30日掲載
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