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「考古学のための法律」 遺跡保護と都市開発、法制度を研究

久末弥生さん 45歳 大阪市立大教授

 発掘調査で出土する遺跡や遺物を都市開発とどう調和させ、守っていくかを、法学の視点から論じた「考古学のための法律」(日本評論社)を刊行した。
 大阪市立大大学院創造都市研究科で、国公有財産や国公有地に関する法制度を研究中だ。「欧米の公園法制についての本を出したら、自治体の担当者から文化財保護の法的根拠などについて質問されるようになりました」
 日本と欧米の文化遺産保護の法律を比較し、2016年に京都市で開かれた「世界考古学会議」で発表。都市計画の法制度の中に、文化遺産の保護も位置づけるフランスの事例などを報告した。
 日本では都市計画と文化財保護行政はまったく別建てだ。「文化財建物や遺跡の活用を、都市計画やまちづくり施策にちゃんと位置づける必要がある。日常的に文化遺産を目にし、利用することで、市民にも古いものへの愛着が湧き、守ろうと考えるようになると思うんです」
 この本では巻末の索引を充実させた。「文化財や都市計画の現場で働く人たちのハンドブックになれば、うれしい」  (編集委員・今井邦彦)