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「昭和の結婚」書評 制度や法律が及ぼす影響

評者: 三浦しをん / 朝⽇新聞掲載:2015年02月08日
昭和の結婚 (らんぷの本) 著者:小泉 和子 出版社:河出書房新社 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784309750125
発売⽇: 2014/12/01
サイズ: 21cm/159p

昭和の結婚 [編]小泉和子

 結婚式や婚礼衣裳(いしょう)は、戦前・戦中・戦後でどう変遷したのか。戦前の農村では、どういう結婚が多かったのかなど、結婚にまつわるあれこれについて、多角的に検証し紹介した本。
 超豪華な嫁入り道具や、戦前の婦人雑誌に掲載された「新婚さんの一日」的グラビアといった、興味深い図版が多数載っている。当時の雑誌によると、「お寝坊旦那様」を「穏やかに親切に」起こせとのことで、「無理でございます!」と思いました。
 楽しく写真を眺めつつ、制度や法律が人々の考えかたにいかに影響を及ぼすのか、具体的に知ることができるつくりになっている。「好きなひとと結婚するのがあたりまえ」と多くのひとが認識している現在は、とてもいい時代なのだ。
 今後も、より多様で自由な「結婚」のありかたを追求できる社会を築くことが、各人の幸せのために、とても重要だと感じた。身近な疑問や問題を掘り下げる資料として、貴重な一冊。
    ◇
 河出書房新社・1998円