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みんなが1番好きな本はどんな本? 「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」結果発表

「こどもプレゼンター」と又吉さん

“ゆいの森”でベスト10を発表

 会場となった「ゆいの森あらかわ」は、東京・荒川区の中央図書館と、子ども向けの科学実験やワークショップ、読み聞かせなどを行う「こどもひろば」、そして、地元出身の作家・吉村昭氏の記念文学館という3つの機能を合わせもつ施設。地域の文化やコミュニティの新たな拠点として、昨年3月にオープンしたばかりだ。とくに絵本や児童書については、子どもたちに読書の楽しみを知ってもらいたいと、合わせて約4万6千冊もの蔵書が揃う。結果発表が行われた「ゆいの森ホール」は、左右の壁一面に絵本の表紙が飾られ、まさに“こどもの本”総選挙にふさわしい空間となっている。

 “こどもの本”総選挙は、児童書出版の老舗・ポプラ社が、創業70周年の記念事業として実施したもので、社内で企画を募ったところ、若手社員から「子どもたちにもっと本を身近に感じてもらいたい」と総選挙のアイデアが持ち上がり、運営も若手社員が中心となって進めたという。
 選挙の仕組みは、小学生の子どもたちに、昨年10月までに日本国内で出版された本の中から、自分が読んだ本で1番好きなものを1冊選び、その理由とともに投票してもらうというもの。本のジャンルは問わず、投票は、郵送やインターネットのほか、全国約700か所の学校や公共図書館でも受け付けを行った。
 その結果、昨年11月1日から今年の2月16日までの投票期間中に、12万8055票もの投票が寄せられることになったのだ。子どもたちが選んだ本の内訳は、児童向けの読み物が約3割を占め、次いで絵本が約20%、児童文庫が約12%だが、そのほかノンフィクションや学習書やコミックなど、はば広いジャンルから多種多様な本に票が投じられ、その数は約2万タイトルにも及んだという。

ポプラ社 長谷川均社長

 主催したポプラ社の長谷川均社長は冒頭の挨拶で、「子どもたちが、こんなにいろいろな本をきちんと読んで、おもしろいと感じてくれていることがわかって、とてもうれしく思いました。今日は10位までの発表ですが、100位までを、パンフレットやポプラ社のホームページで紹介しています。まだ読んだことのない本があるかもしれませんが、子どもたちみんなが自分たちで選んだ本です。この総選挙の結果が、新しい本と出合うきっかけになればと思います」と述べた。

栄えある1位は「ざんねんないきもの事典」に決定!

 結果の発表は、子どもたちが主役という主旨から、それぞれの本に投票した子ども1人がプレゼンターとなり、作者もしくは代理の人に賞状を授与するという形で進められた。子どもたちにとって、本の作者はあこがれの存在。しかも、ホールは報道陣や家族連れの来場者で超満員とあって、緊張の面持ちで出番を待つ10人の子どもプレゼンターたち。

 するとそこに、総選挙のアンバサダーを務めた作家でお笑いタレントの又吉直樹さんが登壇。子どもたちに、「いつもより大きな声でしゃべると平気になるよ」とアドバイスすると、会場は一気に和やかな雰囲気に包まれた。そして、いよいよ結果発表だ。
 約2万タイトルの本の中から1位を獲得したのは、今泉忠明さん監修の「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」。いろいろな生き物の意外な一面に光を当てて紹介した本だが、続編も4位に入り、このシリーズの人気ぶりを示す。
 今泉さんは受賞の感想を、「この本は、進化のおもしろさについて書いてある本で、ちょっと“ざんねん”と思えるところも、それを欠点と見るか、ユニークな個性と見るかは見方しだい。みんながんばって生きているんだよということを知ってもらえればと思って作りました。でも、子どもたちは、お尻やうんちの話が大好きですよね。この本にも、ウォンバットのうんちは四角いなんて話がたくさん出てきます。進化のことより、そっちのほうがウケたんじゃないかな(笑)」と語る。

「こどもプレゼンター」から表彰状を受け取る今泉忠明さん

 2位には、ヨシタケシンスケさんの絵本「あるかしら書店」が入った。ヨシタケさんの絵本は、3位「りんごかもしれない」、7位「このあとどうしちゃおう」、10位「りゆうがあります」と、ベスト10内に4作品がランクインした。
 ヨシタケさんは、「4作品も選んでもらえるなんて、びっくりしました。ぼくが絵本を描くときに一番大事にしていることは、子どものころの、甘えん坊で人見知りで疑い深い自分が喜んでくれるかな、最後までページをめくってくれるかなということです。ぼくのような子が今も絶対いるはずだと思って描いていますが、こんなにたくさんの子どもたちに選んでもらって、すごくうれしいです」
と語る。
 また、8位には、宗田理さんの「ぼくらの七日間戦争」が入った。子どもプレゼンターが、子どもたちがおとなに反抗して解放区をつくったり、誘拐された友だちを助け出したりする友情に感動したと投票理由を述べると、この5月に90歳になったという宗田さんは、「30年も前に書いた本が未だに読まれていて、こんな賞までいただけるなんて、本当にありがたいことです。ということは、子どもたちのやりたいことは今も昔も変わらないということなのかなと思います」と感想を述べた。世代を超えて高い支持を得てきた同書は、現在、アニメ化が進行中だという。
 5位と6位には、トロルさんのおしりたんていシリーズから、それぞれ「おしりたんてい かいとうVSたんてい」「おしりたんてい いせきからのSOS」が、9位には廣嶋玲子さんの「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が選ばれた。

子どもの本よ、永遠に

 結果発表を見守ったアンバサダーの又吉さんは、「子どもたちがどんなところに感動したかがわかって、すごくおもしろかったです。本を読んで、自分がどう思ったかを大切にしてほしいと思いました。それから、ぼくは、一度読んだ本をもう一度読むのが好きなんですが、ぜひ、子どものころに読んだ本を大きくなってからもう一度読んでみてください。その本のまた違った面が見えてきて、何度でも永遠に楽しめる。それが、読書の良さではないでしょうか」と感想を語った。
 結果発表の後には、子どもプレゼンターからの質問に又吉さんが答える楽しいミニトークショーもあり、子どもたちにとってはさらに思い出深い一日となったようだ。

岡本大事務局長


 “こどもの本”総選挙の事務局長を務めたポプラ社の岡本大さんは、「総選挙は、子どもたちが作り上げたムーブメントです。この結果が、子どもたちの間で話題となり、学校や家庭の枠を超えて、日本中でさらに大きなムーブメントとなっていくことを心の底から願っています」と語る。
 ポプラ社では、“こどもの本”総選挙を今年限りでなく、来年も再来年も恒例の行事として継続できるように、業界や関係者に働きかけていきたいという。(文・秩父啓子)

“こどもの本”総選挙ベスト10

  • 1位 「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(今泉忠明監修 高橋書店2016年)
  • 2位 「あるかしら書店」 (ヨシタケシンスケ著 ポプラ社 2017年)
  • 3位 「りんごかもしれない」(ヨシタケシンスケ作 ブロンズ新社 2013年)
  • 4位 「おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典」(今泉忠明監修 高橋書店 2017年)
  • 5位 「おしりたんてい かいとうVSたんてい」(トロル作・絵 ポプラ社 2017年)
  • 6位 「おしりたんてい いせきからのSOS」(トロル作・絵 ポプラ社 2017年)
  • 7位 「このあとどうしちゃおう」(ヨシタケシンスケ作 ブロンズ新社 2016年)
  • 8位 「ぼくらの七日間戦争」(宗田理作 KADOKAWA 2009年)
  • 9位 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(廣嶋玲子作 偕成社 2013年)
  • 10位 「りゆうがあります」(ヨシタケシンスケ作・絵 PHP研究所 2015年

前列は「こどもプレゼンター」と又吉さん。後列はヨシタケシンスケさんら

※詳しい結果は、ポプラ社の特設サイトで見ることができます(票数は非公表)。
https://www.poplar.co.jp/company/kodomonohon/award/