1. HOME
  2. 書評
  3. 見分けるポイント、実践的に

見分けるポイント、実践的に

あやしい統計フィールドガイド ニュースのウソの見抜き方 著者:ジョエル・ベスト 出版社:白揚社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

価格:2376円
ISBN: 9784826901635
発売⽇:
サイズ: 20cm/211p

テレビ、新聞、インターネットなど、あらゆるメディア報道に潜む統計や数字。果たしてそれは信頼できるのか? 私たちを取り巻く世界に転がっている数字のなかから疑うべきものを見分…

評者:辻篤子 / 朝⽇新聞掲載:2012年01月22日

あやしい統計フィールドガイド―ニュースのウソの見抜き方 [著]ジョエル・ベスト [訳]林大

 私たちの社会は、ありとあらゆる種類の数字で語られる。どんな種類の犯罪が増えているのか、どんな病気が増えているのか、あるいは、子どもの学力は? 人々の収入は? それが、私たちの社会観を形作り、政策の基礎にもなる。
 ところが、やっかいなことに、統計はうそをつく。数字の取り方次第で、全く違った印象を与えることができる。
 フィールドガイドと銘打った本書は、こうしたうそを見抜く実践的アドバイスを、具体例を挙げながらコンパクトにまとめている。
 まず、最初に強調されるのが、たとえば年間の出生数など、基本となる数字をいくつか知っておいたり、あるいは調べたりすること、そして、最も重要な経験則、つまり、一般に死者よりけが人の方が多いように、重大な結果ほど頻度は低いことを頭に置いておくことだ。
 ごく当たり前のようだが、これだけでも、疑わしい数字を見分けることができる。
 いったん流布すれば、あっというまに広がってしまうネット時代、「おかしい統計の息の根を止めるのは、吸血鬼を殺すよりむずかしい」からこそ、大切な原則だ。
 そのうえで、メディア、あるいは、ある問題を訴えたい人たちが、どうやってデータにインパクトを持たせるのか、それを見抜くポイントは何か、を挙げる。
 急に肥満が増えた、というデータの裏には、肥満の定義の変更があるかもしれない。あるいは、比較する年代の選び方次第で、全く違った結論が出てくる場合もある。
 「よい統計」の見分け方も重要だ。作り方などの情報が明示され、一貫性があり、異論に対しても開かれていることがその条件だという。
 現代社会では、数字に惑わされることなく、賢く使うことが欠かせない。「統計リテラシー」の重要性を再認識させる一冊だ。
    ◇
白揚社・2310円/Joel Best 米デラウェア大教授。『統計はこうしてウソをつく』など。