アシア・ジェバール「墓のない女」書評 「ゲリラの母」の生涯
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2011年12月11日
墓のない女
著者:アシア・ジェバール
出版社:藤原書店
ジャンル:小説・文学
ISBN: 9784894348325
発売⽇:
サイズ: 20cm/253p
墓のない女 [著]アシア・ジェバール [訳]持田明子
アルジェリアがフランスから1962年、独立を果たすまでには激しい闘いがあった。「ゲリラの母」と呼ばれたアルジェリア女性ズリハの生涯を、70年代半ばに女性の映像作家がたどる設定。裕福な農家に生まれて開明的な父のもとで教育を受け、ベールなしで街を歩く強い性格。3度の結婚で4人の子どもを持つが、独立運動に身を投じて殺された3人目の夫の遺志を継ぎ、女たちのネットワークをつくって闘争を支援、自らも若いゲリラたちと基地にこもった。フランス軍に虐殺されたとみられるが、遺体も見つからない。2人の娘や義妹、親しい友人たちと、ズリハ自身のモノローグが重層的に一人の女性と時代、社会を物語っていく。
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藤原書店・2730円