佐佐木幸綱さん主宰、記念大会に300人
朝日歌壇選者の佐佐木幸綱さんが主宰する短歌結社の機関誌『心の花』が創刊120年を迎えた。7月、東京都内で記念大会が開かれ、会員ら約300人が集った。同誌は幸綱さんの祖父、国文学者で歌人の信綱(1872~1963)らが1898年2月に創刊。現存する短歌誌としては最古だ。
幸綱さんは記念大会開会にあたり、「『われ』を表に出してもいい、『われ』を生きていいんだという短歌革新運動のなか、『心の花』では『おのがじしに』、つまり『個性的であれ』を旗印に掲げてきた。これは現代文学にも通底すること。120年間、関東大震災や戦争も乗り越え、いま改めて明治の、現在の、将来の新しさとは何かについて考えたい」とあいさつした。
馬場あき子さん、幸綱さん、俵万智さんによる座談会「新しさは何か」では、短歌を始めたころの新しさ、いま考える新しさを、各氏が思い出をまじえて語りあった。幸綱さんは「日本の『新』は本来、改めるという意味。新年は年が改まるということ」と説明、馬場さんも「前のものを少し引きながら、改めていく『新しさ』は大事。新古今集の『新』も同じ」と語った。
若手歌人によるシンポジウム「短歌これからの一二○年」では、幸綱さんの長男で歌人の頼綱さんが最後に「短歌は志。未来は放物線上の先にある。今後は(弟の)定綱とともにがんばっていきたい」と決意を述べた。(岡恵里)=朝日新聞2018年8月29日掲載