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王谷晶さん「ババヤガの夜」ダガー賞受賞で26万部重版 柚木麻子さん「BUTTER」も好調

店頭に平積みにされた「ババヤガの夜」=東京都千代田区の東京堂書店神田神保町店

 英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門に、王谷晶(おうたにあきら)さんの「ババヤガの夜」の英訳版「The Night of Baba Yaga」(サム・ベットさん訳)が日本作品で初めて選ばれてから2週間あまり。受賞をきっかけに販売が急伸し、大規模な増刷がかかっている。

 東京都千代田区の東京堂書店神田神保町店では、店頭に特設の陳列台を置き、「ババヤガの夜」文庫版100冊ほどを平積みにしている。

 副店長の竹田学さんは「2023年刊行の文庫なのに、受賞をきっかけに想定を超えてよく売れている。正直、ダガー賞がどういうものか知らなかったが、王谷さんのスピーチもよく、幅広い年齢層の方が興味を持っているようです」と話す。

 「ババヤガの夜」を刊行する河出書房新社によると、ダガー賞の翻訳部門に選ばれた4日以降に、書店での在庫切れが相次ぎ、文庫26万部と、単行本4千部の重版を決めた。日本での累計発行部数は32万部になるという。増刷の規模が大きく、一度に生産できないため、5万部ほどの重版を続ける形で、10日から刷り上がった本を順次出荷している。

 担当者は「書店店頭の熱量と、読者の要望に大急ぎで間に合わせるため、異例の規模での重版を決めた。いまのペースで行けば、そう遠くないころにまた重版を検討するタイミングが来ると思う」と語った。

 惜しくも受賞はならなかったが、柚木麻子さんの「BUTTER」も、売れ行きが伸びているという。

 新潮社によると、ダガー賞発表後に1万部、1万5千部、2万部と3回重版をかけ、計4万5千部を増刷した。5月末の最終候補入りから発表までの間にも2回、計4万2千部を増刷しており、文庫と単行本を合わせた国内での累計発行部数は36万6千部になった。(伊藤宏樹)=朝日新聞2025年7月23日掲載