仏像は拝むものなのか、あるいは、鑑賞するものなのか。
近著「仏像と日本人」(中公新書)で、近代以降、日本人が仏像とどう向き合ってきたのかについて迫った。
近代仏教の研究者であるが、奈良で寺巡りをしていたときに、ふと「仏像を手がかりにしたら、宗教を遠いものと感じている現代人の宗教性にも迫れるのでは」と思いついた。
明治初期の廃仏毀釈(きしゃく)と文化財保護機運のなかで、仏像が信仰から鑑賞の対象となった流れを岡倉天心や和辻哲郎らの著作などからたどった。また、戦後の高度経済成長期、自分の足で観音を巡礼した白洲正子や現代の仏像ブームに、信仰と鑑賞を区別しない現代の宗教性のありようをみる。
次の研究テーマとして着目するのが身体だ。マインドフルネスと呼ばれる瞑想(めいそう)やヨガが流行する一方で、それらのもととなっている伝統仏教では寺離れが進む。「伝統仏教のなかにある知恵は現代にも役に立つはず。それを現代人の宗教性にもうまくつなげるあり方を研究者として見てみたい」(久保智祥)=朝日新聞2018年11月21日掲載
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