SNS映えもすることから人気のトリックアート。その多くは錯視を利用したものです。
「錯視」とは目の錯覚のことで、事実と異なって見える現象のこと。錯視といってもいろいろな種類の錯視があり、びっくりすることに今でも新種の錯視が発見されているそうです。
今回紹介する「新 錯視図鑑」は、2012年刊行の「錯視図鑑」に新たに発見された錯視を追加した増補・改訂版。たくさんの錯視の中から、著者で工学者の杉原厚吉さんが「面白い!」と思うものをまとめて紹介したものです。「形や大きさ」「明るさ」「色」「動き」「奥行き」に関する錯視に分類して解説しています。
特徴的なのが、錯視作品を自分で作ってみたいという読者に向けて、その制作のポイントも掲載されているところ。簡単なものであれば、鉛筆と定規さえあれば自分で錯視作品を作ることができます。
本書には種明かしも含めて各種錯視の解説が掲載されていますが、面白いことにどんなに頭で錯視について理解しても、錯視は理性ではなくすことはできないんだとか。
例えば、街中にある錯視として代表的なのが、理容室のサインポール。赤、白、青の斜めの縞模様のポールが回転しているだけなのに、何だか上に向かって動いているように見えます。確かに、いつ見ても脳がだまされている気が……。
脳がだまされることも含めて不思議で楽しい錯視。現在、そんな錯視をアート作品で堪能できる「ミラクル エッシャー展」が大阪・あべのハルカス美術館で開催中です(2019年1月14日まで)。錯視を切り口にしたコーナーもあるので、本書で予習して錯視体験を楽しんでみては?