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印刷を担った天文学者たち 東京・印刷博物館で企画展

 コペルニクスが地動説を唱えた16世紀、学者の多くは印刷者(印刷業者)を兼ねていた――。東京・江戸川橋の印刷博物館で開催中の「天文学と印刷」展は、印刷が天文学に与えた影響を探った面白い切り口の企画展だ。
 コペルニクスの『天球の回転について』が出版されたのはドイツのニュルンベルク。出版都市と呼ばれるほど、印刷者が集中した町だった。
 きっかけをつくったのが天文学者兼印刷者のレギオモンタヌスだ。1470年代、自宅に天文観測所と印刷所を設置。『天文暦』などを出版する。当時の印刷所は印刷・校正をしながら、学者らが議論を交わす空間でもあった。
 照明を落とした会場には『天文暦』をはじめ、ケプラーの『宇宙の神秘 第2版』など約110点が並ぶ。ベサリウスの『人体の構造について』などの希少本も。印刷術の発展で図版が簡便に製作できるようになったことが、天文学などの発展に大きく寄与したことがわかる。来年1月20日まで。12月25日、29日~1月3日、7日、15日休み。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2018年12月19日掲載