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「水族館の文化史」にみる人間の営み 溝井裕一関西大教授、サントリー学芸賞受賞

溝井裕一・関西大教授=大阪府

 水中の生物をぞんぶんに見たいという欲望をかなえてくれる水族館がいかに生まれ、発展してきたのかをたどった「水族館の文化史」(勉誠出版)で昨年末、サントリー学芸賞を受賞した。
 もともとドイツの民間伝承が専門。大学で人間と動物のかかわりについて講義することになって思いついたのが前著「動物園の文化史」(同)だった。「講義への学生の食いつきも良かったし、調べるうちに自分でも面白くなって」
 次に選んだのが水族館だ。古代には水族を畏怖(いふ)していた人間がしだいに池やガラスケースで飼育。19世紀に英国で水族館が誕生すると帝国主義と結びつき、日米など世界へと広がった。
 非日常を演出する展示が人気を呼ぶ一方で、イルカショーの是非や「動物の権利」といった考えが浸透し、水族館は今、転換期を迎えている。「生物との接点でもあり、支配という面もある水族館は人間と動物がどう共生できるのかを鋭く突きつける存在です。その歴史から見えてくるのは、その時々の人間の、動物との向き合い方であり、人間の営みそのものなのです」(久保智祥)朝日新聞2019年1月30日掲載